目次
障がい福祉サービスに適用される減算の一覧について
どのようなサービスにどんな減算が適用になるの?
障がい福祉サービスでは、人員配置基準に関する減算が多いです。そのため事業所での管理をしっかりと行う必要があります。障害者総合支援法の改正で2021年4月1日に施行された内容で注目された点は、障がい福祉サービスの人員配置基準に関する減算について、より具体的な条件が設けられ、減算割合が増加したということです。
サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者の欠如減算
障がい者支援サービスや児童発達支援サービスの提供には、それぞれサービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が必要です。この管理責任者は、サービスの提供計画の作成やサービス提供スタッフの指導などを行い、サービスの質を向上させるために重要な役割を果たします。
しかし、サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が不足する場合、人員配置基準を下回ることになります。そのため、障がい者総合支援法や児童福祉法では、管理責任者の欠如による減算が認められています。
欠如減算が認められる事項 |
---|
サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が必要なサービスを提供することが困難であること |
管理責任者が不足していることが、利用者の福祉の確保につながること |
管理責任者の不足が適切であると認められること |
欠如減算は、人員配置基準を下回っても、最低限必要なサービス提供内容を確保することが求められます。サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が欠如している場合には次のような減算が行われます。
- 人員が欠如した月の翌々月から人員欠如が解除されるに至った月までの基本報酬における利用者全員の70%の算定(30%の減算)
- 減算が適用される月から連続して5か月以上、基準に満たない場合は、減算が適用された5か月目から基本報酬における利用者全体の50%の算定(50%の減算)
人員欠如減算
人員欠如減算が該当する障害福祉サービスは、次の通りです。
- 療養介護
- 生活介護
- 短期入所
- 共同生活援助
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型、B型
- 就労定着支援
- 自立生活援助
- 放課後等デイサービス
- 児童発達支援 など
人員欠如減算のあらましは次の通りです。
対象 | 欠如の割合 | 減算期間 |
---|---|---|
生活支援員 看護職員 理学療法士 作業療法士 地域移行支援員 職業指導員 就労支援員 就労定着支援員 世話人 保育士 障がい福祉サービス経験者(※) | 人員配置基準から1割を超えて欠如 | ①人員が欠如した月の翌月から人員欠如が解消されるに至った月まで減算。減算割合は減算が適用される月から3か月未満は基本報酬における利用者全員の70%を算定(30%の減算) ②減算が適用される月から連続して3か月以上の月については、基本報酬における利用者全員の50%を算定(50%の減算) |
人員配置基準から1割を超えない欠如 | ①人員が欠如した月の翌々月から人員欠如が解消されるに至った月まで減算。 減算割合は基本報酬における利用者全員の70%を算。(30%の減算) ②減算が適用される月から連続して3か月以上の月については、基本報酬における利用者全員の50%を算定。(50%の減算) 備考 翌月の末日において、人員基準を満たすに至っている場合は除く |
常勤又は専従などの員数以外の要件を満たしていない場合 | |
---|---|
減算期間 | ①人員が欠如した月の翌々月から人員欠如が解消されるに至った月まで減算。 減算割合は基本報酬における利用者全員の70%を算。(30%の減算) ②減算が適用される月から連続して3か月以上の月については、基本報酬における利用者全員の50%を算定。(50%の減算) |
備考 | 翌月の末日において、人員基準を満たすに至っている場合は除く |
個別支援計画未作成減算
障がい者総合支援法では、利用者が障がいを持ち、支援サービスを受ける場合、個別支援計画を作成することが義務付けられています。個別支援計画は、利用者一人ひとりのニーズや要望に合わせて、適切な支援を提供するための計画であり、サービス提供者が作成します。
個別支援計画未作成減算とは、利用者に対して個別支援計画が作成されていない場合に、サービス提供者に対して行われる減算のことです。つまり、個別支援計画が作成されていない場合、人員配置基準を下回ることになり、その分、減算されることになります。ただし、個別支援計画未作成減算が適用される場合でも、最低限必要なサービス提供内容を確保することが求められます。また、個別支援計画が未作成である場合でも、利用者に対して必要な支援を提供することは、サービス提供者の責務となっています。なお、障がい者総合支援法の改正により、2022年4月1日からは、個別支援計画の作成が義務化される期間が、従来の1ヵ月から2週間に短縮されました。これにより、個別支援計画未作成減算が適用されるケースが減ることが期待されています。
個別支援計画について次のような場合減算の対象となります。
減算の対象例 |
---|
サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者による指揮のもと、個別支援計画が作成されないこと |
個別支援計画作成の一連の業務が適切に行われていないこと |
この減算が該当するサービスは次の通りです。
- 療養介護
- 生活介護
- 共同生活援助
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型、B型
- 就労定着支援
- 自立生活援助
- 放課後等デイサービス
- 児童発達支援 など
この減算期間と減算割合は次の通りです。
- 減算が適用される月から3か月未満までは、基本報酬の70%の算定(30%の減算)
- 減算適用月から3か月以上連続して解消されないときは、基本報酬の50%の算定(50%の減算)
定員超過減算
障がい者総合支援法において、サービス提供者が提供する施設やグループホーム、自宅などの定員数を超えて利用者を受け入れた場合、定員超過減算が課せられることがあります。つまり、定員数を超えた利用者を受け入れた場合、人員配置基準を下回ることになり、その分、減算されることになります。定員超過減算は、利用者の安全や福祉を脅かすことにつながるため、サービス提供者に対して厳しい措置が取られる場合があります。
この減算が該当するサービスは次の通りです。
- 療養介護
- 生活介護
- 短期入所
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労計測支援A型、B型
- 放課後等デイサービス
- 児童発達支援 など
減算割合は、基本報酬の70%を算定(30%の減算)して行われます。
まとめ
障害者総合支援法における減算には、障害福祉サービスの人員配置基準に関するものがあります。その中でも、サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者の欠如、個別支援計画の未作成、定員数を超えた受入れなどによる減算が認められています。これらの減算によって、サービス提供者には、人員配置基準を下回った場合には適切な措置を講じる義務が課せられます。ただし、減算が適用される場合でも、最低限必要なサービス提供内容を確保することが求められます。
障害者総合支援法における減算は、サービス提供者にとっては適切な措置を講じることが求められる問題であり、その対応には法的知識や経験が必要とされます。このため、弁護士に依頼するメリットは、以下のようなものが挙げられます。
- 法的知識と経験の活用:弁護士は、法的知識と経験を活用して、適切なアドバイスや対応策を提供することができます。障害者総合支援法における減算に関する法律的な問題に対応することができるため、的確なアドバイスや指導を受けることができます。
- 交渉力の強化:弁護士に依頼することで、サービス提供者や行政機関との交渉力が強化されます。弁護士は、法的な立場や知識を基に、的確な判断や交渉を行うことができます。これにより、減算に対して最善の解決策を見出すことができます。
- 紛争解決の支援:弁護士は、紛争解決の支援も行っています。もし、減算に関する問題が紛争となっている場合には、弁護士が仲裁や調停の支援を行うことができます。
以上のように、弁護士に依頼することで、適切な対応策や交渉力の強化、紛争解決の支援などが期待できます。
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