障がい福祉サービスの、サービス提供時の決まりごとについて

author:弁護士法人AURA(アウラ)
放課後等デイサービスなど障がい福祉サービスにおける、サービス提供時の決まりごととは?と記載されたイラスト

目次

放課後等デイサービスなど障がい福祉サービスにおける、サービス提供時の決まりごととは?

勤務体制の確保

障がい福社サービスを提供するときには、各サービスの種類とその定員ごとに決められた人員(常勤要件や常勤換算での配置数を合めた人員)を配置する必要があります。

各サービスの種類によって必要な人員や勤務体制が異なるため、定員ごとに決められた人員を配置する必要があります。定員とは、そのサービスを提供する場所で受け入れられる利用者の人数のことです。例えば、デイサービスの場合、1日あたりの利用者数が定員となります。

障がい福祉サービスにおいては、利用者のケアや支援を行うスタッフを常勤要件や常勤換算での配置数を基準にして、配置することが求められます。常勤要件とは、そのサービスを提供する場所において必要な最低人数のことです。常勤換算とは、非常勤スタッフやパートスタッフの労働時間を換算して、常勤スタッフに相当する人数に換算することです。このようにして求められた必要なスタッフ数を配置することで、適切な勤務体制を確保することができます。

デイサービスの場合

1日あたりの利用者数に応じて必要なスタッフ数が定められています。これには、介護職員や生活相談員などが含まれます。そして、この必要なスタッフ数に対して、常勤要件や常勤換算での配置数を基準にしてスタッフを配置することで、適切な勤務体制を確保することができます。

障がい福祉サービスにおいては、各サービスの種類と定員ごとに求められる必要な人員を確保することが、適切な勤務体制を確保するために重要です。利用者がいないからといって、従業員を休ませて、決められた人員配置を割りこんだ勤務体制にすることはできません。月末には月ごとの勤務予定表(シフト表など)を作成して、翌月の人員配置がしっかりできているかを確認し、実際に勤務した勤務表(勤務時間、常勤・非常勤の別、兼務関係、常勤換算などを明確にしたもの)を作成する必要もあります。併せて従業者の質を向上させるために、研修(内部・外部研修)を行なうようにしましょう。

利用者への金銭の支払いを求める範囲

障がい福祉サービスを利用する場合、利用者には一部負担金が課せられる場合があります。その範囲は、利用するサービスや収入・家族構成などによって異なりますが、以下に一般的な例を挙げて説明します。

利用料(利用者負担額)について

まず、利用者が支払う負担金のうち、最も一般的なのは「利用料」です。これは、サービス提供者が定めた利用料金のうち、利用者が自己負担する部分のことです。例えば、デイサービスの場合、1回あたりの利用料金が設定されており、利用者はその一部を自己負担することになります。

また、障がい福祉サービスを利用する際には、利用者の収入や家族構成に応じて「自己負担額」が決められます。これは、利用者の収入に応じて決まる「所得制限額」と、家族構成に応じて決まる「家族数減額額」を基にして、利用者が自己負担する額を決定する制度です。

さらに、障がい福祉サービスを利用する際には、「介護保険制度」を利用する場合があります。この場合、利用者が支払う負担金は、介護保険制度の給付限度額内で決定されます。つまり、利用者が自己負担する額は、介護保険制度の給付限度額を上回らないように設定されます。

以上のように、障がい福祉サービスを利用する際には、利用料や自己負担額が課せられる場合があります。ただし、その範囲は利用者の収入や家族構成に応じて決まるため、必ずしもすべての利用者が同じ金額を支払うわけではありません。

利用者負担額以外の金銭の支払い範囲とは

障がい福祉サービスの利用者に対して、利用者負担額以外に金銭の支払いを求めることはありません。利用者に対して金の支払いを求めることは可能ですが、金袋の使途が直接、利用者の有益性を向上させるもので、利用者に支払いを求めることが適当であるものに限られます(利用者負担額などのことではありません)。ただし、以下のような場合には別途支払いが必要になることがあります。

利用者が特別なサービスや補助具を利用する場合
それらに関する費用は利用者が負担することになります。たとえば、車いすやベッドなどの補助具を利用する場合、それらの費用は利用者が自己負担する必要があります。
利用者が特別なサービスや補助具を利用する場合それらに関する費用は利用者が負担することになります。たとえば、車いすやベッドなどの補助具を利用する場合、それらの費用は利用者が自己負担する必要があります。
障がい福祉サービスの利用者が医療機関などで治療を受ける場合その費用は健康保険や国民健康保険などから支払われます。ただし、治療に必要な交通費や宿泊費などは利用者が負担することになります。
障がい福祉サービスの利用者が別途サービスを利用する場合その費用は利用者が負担することになります。たとえば、利用者が通院する場合には、その交通費は利用者が自己負担する必要があります。

以上のように、障がい福祉サービスの利用者に対して、利用者負担額以外に直接的な金銭の支払いを求めることはありません。ただし、特別なサービスや補助具の利用、治療のための交通費や宿泊費、別途利用するサービスに関する費用などについては、利用者が負担することになります。また、金の支払いを求める場合、書面(金銭の使途や金額、支払いを求める理由などを記載)にしたうえでの説明と同意を得ることが必要ですし、費用の額の支払いを受けた場合は、領収証などを交付する必要もあります。

利用者負担額等の受領

利用者から利用者負担額の支払いを受けるに当たっては、領収証などを交付することが必要です。

その後の確定申告や税金の申告に必要な情報

利用者から支払われる利用者負担額は、その後の確定申告や税金の申告に必要な情報となります。このため、領収証を交付することで、利用者が確定申告や税金の申告を行う際に、必要な支払い情報を正確に記録することができます。また、領収証を交付することで、利用者が支払いをしたことが正当に証明されます。これにより、利用者が支払いをしたにもかかわらず、支払いが認められなかった場合には、支払いを証明することができます。

利用者とサービス提供者の間に信頼関係を構築

さらに、領収証を交付することで、利用者とサービス提供者の間に信頼関係を構築することができます。領収証を交付することで、サービス提供者が利用者に対して誠実に対応し、適切なサービスを提供することが求められます。逆に、領収証を交付しない場合、利用者とサービス提供者の間に信頼関係が損なわれ、トラブルに発展する可能性があります。

以上のように、障がい福祉サービスのサービス提供時において、利用者から支払われる利用者負担額に対して、領収証などを交付することが必要な理由は、確定申告や税金の申告に必要な情報を提供し、支払いを正当に証明し、信頼関係を構築するためです。

また、事業所が提供することで、利用者の有益性を向上させ、日常生活に必要となる費用で、利用者に負担させることが適当と認められるものについても、支払いを求めることが可能です。

日常生活に必要となる費用

就労系や障がい児通所系のサービス創作的活動にかかる材料費、日用品費など
グループホームなどのサービス食材料費、家賃、水道光熱費、日用品費など

なお、金銭の文払いを求める場合は、背面(金袋の使途や金額、支払いを求める理由などを記載)にしたうえでの説明と同意を得ることが必要です。支払いを受けた場合は、領収証などを交付する必要もあります。

代理受領する時は?

法定代理受領について

障がい福祉サービスのサービス提供時において、法定代理受領により、市町村から給付費の支給を受けることがあります。法定代理受領とは、利用者本人が給付費を受け取ることができない場合に、代理で給付費を受け取ることができる制度のことです。

法定代理受領を行う場合、利用者本人が不在であったり、病気や障がいによって給付費を受け取ることが困難であったりする場合に、利用者の法定代理人が給付費を受け取ることができます。法定代理人とは、利用者本人が設定することができる代理人であり、家族や友人、弁護士などがその役割を担います。市町村からの給付費は、利用者本人や法定代理人が受け取ることができます。ただし、法定代理人が受け取る場合には、市町村にその旨を届け出て、代理人としての資格を証明する必要があります。具体的には、利用者本人と法定代理人の印鑑証明書や、法定代理人と利用者本人との間に締結した委任状が必要です。

なお、法定代理受領によって給付費を受け取る場合には、利用者本人が受け取る場合と同様に、給付費の利用状況や支払いに関する書類の提出が必要となります。また、利用者本人と同様に、領収証などを交付することが必要です。

代理受領のお知らせなどの書面

障がい福祉サービスのサービス提供時において、事業所に支払われる給付費の額を書面で通知することは、非常に重要な手続きの一つです。具体的には、「代理受領のお知らせ」などの書面を作成し、事業所に提出する必要があります。

代理受領のお知らせとは、障がい福祉サービスの事業所が、介護保険料の負担金を受け取るために必要な書類です。この書類は、介護保険料の負担金が支払われたことを証明するものであり、事業所がこれを受け取ることで、給付費を受け取ることができます。

代理受領のお知らせには、以下のような内容が含まれます。

  • 支払いの種類や金額
  • 利用者の氏名や利用者番号
  • 事業所の名称や法人番号
  • 支払いの日付や支払先の口座番号など

これらの情報を正確に記載し、代理受領のお知らせを作成し、事業所に提出することで、給付費の受け取り手続きがスムーズに行われます。また、代理受領のお知らせは、介護保険料の負担金が支払われたことを証明する重要な書類であるため、正確性や適時性を確保することが大切です。

賃金、工賃の支払い

就労継続支援A型のサービスで雇用している利用者に対して「賃金」を支払い

就労継続支援A型のサービスでは、雇用している利用者に対して「賃金」として支払いが行われます。この賃金は、企業などの一般的な雇用形態と同様に、時間給や月給などの形態で支払われ、利用者が働いた時間や生産した商品の量に応じて支払われます。

就労継続支援B型や生活介護など必要な経費を控除した額に相当する金額の「工賃」が支払い

就労継続支援B型や生活介護、指定就労移行支援サービスで生産活動をしている場合には、事業の収入から生産活動に必要な経費を控除した額に相当する金額の工賃が支払われます。具体的には、事業の収入から生産活動に必要な原材料費や消耗品費、賃借料などの経費を控除した額が、利用者に支払われる工賃に相当します。

このように、就労継続支援A型とB型、生活介護、指定就労移行支援サービスでは、支援内容や提供方法によって、利用者に支払われる金額が異なります。就労継続支援A型では一般的な賃金形態で支払われるのに対して、就労継続支援B型や生活介護、指定就労移行支援サービスでは、事業の収入から必要な経費を控除した金額が支払われます。これらの支払いに伴う締め日は、サービス管理責任者などの従業員の給料の締め日と合わせるほうが、わかりやすいでしょう。

苦情に関する措置

苦情に対する措置は、利用者やその家族の意見や要望を尊重し、問題解決に取り組むことが重要です。以下に、障がい福祉サービスのサービス提供時における苦情に対する措置について、いくつかのポイントを挙げます。

相談担当者の設置

サービス提供事業所において、相談担当者を設置し、利用者やその家族からの苦情や問い合わせに迅速に対応できるようにしておきましょう。相談担当者は、利用者や家族と適切なコミュニケーションを図り、問題解決に向けたアドバイスや支援を行うことが求められます。

苦情処理の手順の明確化

サービス提供事業所において、苦情処理の手順を明確にしておきましょう。具体的には、苦情の受付や調査、対応方法や報告書の作成などの手順を定め、スタッフに周知徹底することが重要です。

問題解決の敏速化

苦情が発生した場合には、迅速かつ適切な対応を心がけましょう。具体的には、利用者やその家族からの苦情には真摯に向き合い、誠意を持って問題解決に取り組むことが求められます。また、問題解決にはスタッフや関係機関との協力も必要となるため、適切な連絡や調整を行いましょう。

管理体制の強化

サービス提供事業所において、管理体制の強化を行い、利用者やその家族からの苦情を未然に防ぐことが重要です。具体的には、スタッフの教育や研修を行い、適切なサービス提供を行えるようにすることが求められます。また、定期的な職員会議や検討会の開催など、組織内での情報共有や問題解決に取り組むことも大切です。

サービス提供時における苦情に対する措置は、利用者やその家族の意見や要望を尊重し、問題解決に取り組むことが大切です。スタッフや関係機関と協力し、よりよいサービス提供を行うためにも、苦情処理についてしっかりとした体制を整え、適切な対応を行うことが求められます。

事故発生の対応

事故発生時の対応は、利用者の安全確保や迅速かつ適切な対応が求められます。以下に、障がい福祉サービスのサービス提供時における事故発生時の対応について、いくつかのポイントを挙げます。

現場の安全確保

事故発生時には、まず現場の安全確保が最優先です。利用者やスタッフの安全を確認し、必要な措置を講じましょう。また、事故の状況や範囲を把握するために、周辺の状況を確認することも大切です。

緊急対応の実施

事故発生時には、利用者やスタッフの緊急対応を行い、必要に応じて救急車や消防車を呼び出すなどの対応が求められます。また、利用者や家族への連絡や、関係機関への報告も迅速に行いましょう。

報告書の作成

事故発生時には、事故の内容や状況について報告書を作成し、事故発生原因の把握や再発防止のための対策を検討する必要があります。報告書は、事故の発生状況や対応状況、被害者や関係者の状況など、事実に基づいた正確な情報を記載することが重要です。

再発防止策の検討

事故発生時には、再発防止策を検討し、適切な対策を実施することが大切です。具体的には、スタッフの教育や研修の強化、ルールやマニュアルの見直し、設備や機器の点検などが求められます。

障がい福祉サービスのサービス提供時における事故発生時の対応は、利用者の安全確保や迅速かつ適切な対応が求められます。スタッフや関係機関との連携を図り、再発防止策を徹底的に実施することが大切です。また、事故発生時には、利用者やその家族の心理的なケアも必要となります。適切なアフターケアを提供し、利用者やその家族の不安や心配を取り除くことも大切です。事故発生時には、冷静に対応し、迅速かつ適切な対応を心がけましょう。

非常災害への対策

非常災害への対策は、利用者の安全確保や適切な支援を行うために非常に重要です。以下に、障がい福祉サービスのサービス提供時における非常災害への対策についていくつかのポイントを挙げます。

防災マニュアルの作成と確認

サービス提供事業所において、防災マニュアルを作成し、利用者や関係者と共有しましょう。また、定期的に確認を行い、改善点や不備を改めて認識することが大切です。

避難場所の確保

サービス提供事業所において、避難場所を確保し、利用者やスタッフが迅速かつ安全に避難できるようにしておく必要があります。また、避難場所までの移動経路を確認し、スタッフが利用者を安全に移動させるための準備を行いましょう。

非常食や医療品の備蓄

サービス提供事業所において、非常食や医療品の備蓄を行い、必要な場合には利用者やスタッフが安心して利用できるようにしておくことが重要です。

避難訓練の実施

サービス提供事業所において、避難訓練を定期的に実施し、利用者やスタッフが非常時に正しい行動を取ることができるようにしておきましょう。

連携体制の確立

サービス提供事業所において、災害時の連絡体制を確立し、スタッフや関係機関との連絡をスムーズに行うことが必要です。また、利用者や家族との連絡も確保するための方法を検討しておくことが大切です。

火災や地震などの非常災害が発生したときに備えるためには、非常災害に関する対策の具体的な計画を立てて、定期的に避難、救出その他必要な訓練を行なってください。飲料水や食料の備蓄を行なったり、災害の発生に備えてあらかじめ避難場所の確認をしておくことも重要です。

衛生管理等対策

衛生管理等の対策は、利用者の健康や安全確保に重要な役割を果たします。以下に、障がい福祉サービスのサービス提供時における衛生管理等の対策について、いくつかのポイントを挙げます。

感染症対策の徹底

障がい福祉サービスのサービス提供時においては、感染症対策を徹底することが大切です。具体的には、手洗いや手指消毒の促進、マスクの着用、利用者の健康状態のモニタリングなどが求められます。また、スタッフの健康管理や研修も行い、感染症予防に取り組むことが重要です。

施設の清掃と衛生管理

施設内の清掃や衛生管理も大切な対策の一つです。具体的には、利用者の居住スペースや共有スペース、トイレやシャワールームなどの共用設備を定期的に清掃し、衛生管理を徹底することが求められます。

食品の衛生管理

障がい福祉サービスのサービス提供時においては、食品の衛生管理も重要な対策の一つです。具体的には、食品の保存や調理について、適切な衛生管理を行い、食中毒などの発生を防止することが求められます。

スタッフの健康管理と研修

スタッフの健康管理や研修も、衛生管理等の対策に重要な役割を果たします。具体的には、スタッフの健康状態の確認や、研修を通じた衛生管理や感染症対策の徹底などが求められます。

障がい福祉サービスのサービス提供時における衛生管理等の対策は、利用者の健康や安全確保に直結する重要な役割を果たします。施設内の清掃や衛生管理の徹底、食品の衛生管理、感染症対策などに取り組み、スタッフの健康管理や研修などを通じて、よりよいサービス提供を行うための体制を整えることが求められます。また、利用者やその家族への情報提供や相談体制の充実も大切です。利用者やその家族が、安心してサービスを受けられるよう、適切な対応を心がけましょう。

令和3年(2021年)度の報酬改定で、感染症の発生・まん延防止等の取組みが義務化され、委員会の開催や指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレート)の実施が義務づけられました。ただし、3年間(令和6年3月31日まで)の経過措置(準備期間)があります。

緊急時等への対応

緊急時等への対応は、利用者の安全確保や迅速かつ適切な対応が求められます。以下に、障がい福祉サービスのサービス提供時における緊急時等への対応について、いくつかのポイントを挙げます。

緊急時等の対応体制の整備

障がい福祉サービスのサービス提供時においては、緊急時等に対応するための体制を整備することが大切です。具体的には、緊急時等に備えた訓練やマニュアルの策定、緊急連絡先の確認などが求められます。

利用者や関係者への情報提供

緊急時等には、利用者やその家族、関係機関への迅速かつ適切な情報提供が求められます。具体的には、事故や災害の発生状況や対応状況などについて、適切な情報提供を行い、利用者やその家族の不安や心配を取り除くことが重要です。

緊急時等の対応

緊急時等には、利用者やスタッフの安全確保や迅速かつ適切な対応が求められます。具体的には、火災や地震などの自然災害発生時には、利用者やスタッフを安全な場所に避難させるなどの対応が必要です。また、利用者の急病発生時には、迅速な救急対応を行い、必要に応じて医療機関への搬送も行います。

復旧作業やアフターケアの実施

緊急時等の発生後には、施設や設備の復旧作業や、利用者やその家族のアフターケアなども求められます。具体的には、被害の範囲や状況に応じて、必要な対応を行い、利用者やその家族の支援に努めることが大切です。

障がい福祉サービスのサービス提供時における緊急時等への対応は、利用者の安全確保や迅速かつ適切な対応が求められます。緊急時等には、冷静に対応し、迅速な行動を心がけることが重要です。また、事前に対応体制を整備し、訓練やマニュアルの策定、緊急連絡先の確認などを行うことで、より迅速かつ適切な対応が可能となります。

身体拘束等の適正化

利用者や他の利用者への生命または身体を保護するために緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者を制限する行為(身体拘束)を行なうことは禁止されています。身体拘束は、虐待案件となり得る場合があるので注意が必要です。

身体拘束とは

身体拘束は、利用者の自由な行動を制限するために、手足や胸部などをベルトや布団で拘束する方法です。身体拘束は、危険な行動や暴力行為を防ぐために使用されることがありますが、不適切な使用や長時間の拘束は、利用者にとって精神的な苦痛を与えることにつながり、虐待につながる可能性があります。

障がい福祉サービスにおいては、身体拘束は、法的に規制されています。利用者に対する身体拘束は、個別のケースに応じて最小限に留める必要があり、使用する場合には適切な理由が必要です。また、身体拘束を行う場合には、利用者や家族の同意が必要であり、定期的な見直しや、可能な限り早期の解除が求められます。

身体拘束は、虐待の一つであるため、適切な判断と処置が求められます。身体拘束を行う場合には、その理由や方法について、利用者や家族、サービス提供者が相談を行い、合意を得ることが大切です。また、拘束が長時間にわたって行われていた場合や、利用者が不適切な拘束を受けていた場合には、虐待の疑いがあるため、早期に報告し、適切な対処を行う必要があります。やむを得ず身体拘束等を行なう場合には、詳細な記録(利用者の態様や時間、心身の状況や身体拘束に至る経緯、身体拘束の態様、緊急やむを得ない理由などの記録)をすることが必要です。令和3年(2021年)度の報酬改定で、委員会の定期的開催など指針の整備、研修の定期的開催などが盛り込まれました。

会計の区分

障がい福祉事業におけるサービスは、法人の運営の中核を成す重要な役割を果たしています。そのため、サービスごとに収支を管理し、経理・会計処理を行うことが求められます。以下に、障がい福祉事業におけるサービスごとの経理・会計処理について、詳しく説明します。

まず、障がい福祉サービスには、様々な種類があります。例えば、生活介護や就労継続支援などがあります。これらのサービスは、法人の中で別の事業として区分され、独立した会計管理が必要です。つまり、それぞれのサービスごとに収支を管理し、経費や収益の分析を行う必要があるということです。

具体的には、各サービスごとに収支の帳簿を作成し、売上や収入、費用などを管理します。また、各サービスごとに利益や損失を算出し、その結果に基づいて戦略や方針を立てることが求められます。さらに、各サービスごとに財務諸表を作成し、法人の全体的な収支状況を把握することも必要です。

障がい福祉事業におけるサービスごとの経理・会計処理を行うことで、それぞれのサービスの収益性や財政的な健全性を把握し、適切な経営判断を行うことができます。また、各サービスごとに収支を管理することで、そのサービスの改善や成長に必要な情報を収集することができます。

以上のように、障がい福祉事業におけるサービスごとの経理・会計処理は、法人の健全な経営を支える重要な役割を果たします。各サービスごとに収支を管理し、経費や収益の分析を行い、適切な経営判断を行うことで、より良いサービス提供を実現することが求められます。

なお、これは税務上の要請ではなく、障害者総合支援法と児童福祉法上の要請から行なうものです。

事業継続計画(BCP)策定や研修・訓練実施の義務化

障がい福祉サービスにおける事業継続計画(BCP)策定や研修・訓練実施の義務化は、災害などの緊急時におけるサービス提供の継続性を確保するために重要な取り組みとなります。以下に、その詳細を説明します。

事業継続計画(BCP)とは

障がい福祉サービスにおける事業継続計画(BCP)とは、災害や緊急事態などが発生した場合において、事業を継続して運営するための計画です。BCPを策定することで、事業の継続性を確保し、利用者やその家族、スタッフなどの安全確保を図ることができます。

BCPに基づく研修・訓練の実施

また、BCP策定に加えて、BCPに基づく研修・訓練の実施も重要です。利用者やスタッフに対して、BCPの内容や対応方法などを周知し、緊急時に迅速かつ適切な対応ができるようにすることが求められます。研修・訓練を通じて、緊急時における適切な行動を身につけ、よりスムーズかつ安全なサービス提供が可能となります。

なお、BCP策定や研修・訓練の実施は、障がい福祉サービスを提供する事業者に対して義務化されています。また、厚生労働省が策定した「障がい福祉サービスにおける事業継続計画策定マニュアル」なども参考にしながら、適切なBCP策定や研修・訓練の実施を行うことが求められます。

障がい福祉サービスにおける事業継続計画(BCP)策定や研修・訓練実施の義務化は、利用者やスタッフの安全確保という観点から非常に重要な取り組みとなっています。事業者は、BCPの策定や研修・訓練の実施を通じて、より安心で安全なサービス提供を実現するために努めることが求められます。令和3年(2021年)度の報酬改定で、感染症や災害が発生した場合でも、サービスを継続的に提供できる体制を構築する必要から、事業継続計画(BCP) 発定や研修の実施、訓練の実施等が義務づけられました。ただし、3年間(令和6年3月31日まで)の経過措置(準備期間)があります。

まとめ

障がい福祉サービスにおいては、利用者やスタッフの安全確保やサービスの質の向上を目的として、様々なルールや制度が定められています。それらには、勤務体制の確保、利用者負担額の受領や代理受領、苦情に対する措置、事故発生時の対応、非常災害への対策、衛生管理等の対策、緊急時等への対応、身体拘束の適正化、会計区分、事業継続計画(BCP)の策定や研修・訓練の義務化などが含まれます。

これらのルールや制度を遵守することで、障がい福祉サービスにおける適切なサービス提供が実現できるとともに、事業者や利用者にとっても安心・安全な環境が確保されます。しかし、法律や規則の改正や変更、新たな問題の発生などに対応するために、障がい福祉サービスには常に最新の情報や知識が必要とされます。

こうした問題に対応するため、弁護士に依頼することは非常に有効な手段の一つです。弁護士は、法律や規則の最新情報に詳しく、様々なトラブルや問題に対する的確なアドバイスや対応を行ってくれます。また、事業者の法的リスクを最小限に抑えるために、契約書のチェックや法的なアドバイスを提供することもできます。つまり、障がい福祉サービスにおいては、法的なトラブルや問題に備えるために、弁護士を付けることが有効であると言えます。弁護士のアドバイスを受けながら、法律や規則を遵守し、安全かつ安心なサービス提供を行うことが求められます。


AURAでは、あらゆる社会福祉のニーズに寄り添います

私たちは、幅広い福祉分野での経験を持ち、高齢者介護から障がい者や障がい児に関する悩み、一時保護から成年後見制度まで、多様な相談に対応しています。特に、ひとり親や母子家庭の支援において専門的なカウンセリングを提供し、あなたの心のケアや新しい生活への準備を支援します。必要に応じて、専門家の紹介や心理的なサポートも提供いたします。私たちは、あなたの隣に立ち、新たな未来に向けて共に歩むお手伝いをいたします。

障害児通所事業(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)や児童福祉に関する関連コラムについて

Page Top