発達障害とは?定義・原因・種類・症状など

author:弁護士法人AURA(アウラ)
「発達障害」は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です。

文部科学省は、通常学級に在籍する小中学生のうち、8.8%に注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの発達障害の可能性があるとする調査結果を発表しました。(詳細はこちら)
この数字は、10年前より2.3ポイント増加し、同省は「35人学級なら1クラスに3人の割合となる」と指摘しています。このうち、週に1、2回クラスを離れて個別にコミュニケーションを学ぶ「通級指導」を受けている児童生徒は1割にとどまり、支援が行き届いていない実態が明らかになりました。
今回の調査では初めて公立高校も対象に追加され、発達障害の可能性のある生徒は2.2%であることがわかりました。

以下では、発達障害の定義や原因、種類、症状についてご説明していきます。

発達障害とは?

発達障害は行動や認知の特徴によって、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥・多動性障害など、その症状は様々です。これらは、生まれつき脳の働き方に違いがあるという点が共通しています。
他人との関係つくりやコミュニケーションが苦手な場合もありますが、優れた能力が発揮されている場合もあります。


発達障害の定義

近年、発達障害に注目が集まった理由には2005年に施行された「発達障害者支援法」という法律が関係しています。
それまでは知的障害を伴う発達障害への支援は行われていましたが、この法律によって知的な障害を伴わない発達障害への支援が定められました。
発達障害者支援法における「発達障害」の定義は以下の通りです。

第一章 総則(定義)

第二条 この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
2  この法律において「発達障害者」とは、発達障害を有するために日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。
3  この法律において「発達支援」とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う発達障害の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助をいう。

発達障害者支援法(平成十六年十二月十日法律第百六十七号):文部科学省 (mext.go.jp)

発達障害の原因

発達障害の原因は、今のところ、先天的な発達の特性については、遺伝的な要因が影響している脳の器質的、機能的な障害によるものではないかと考えられています。また、妊娠中の環境要因も影響していることも言われています。
※妊娠中の環境要因とは、暑さ・寒さ・騒音などの物理的ストレス、化学物質・酵素などの化学的ストレス、細菌やウイルスへの感染などの生物的ストレス、社会生活・人間関係・不安などの社会的・心理的ストレスなど。

発達障害の発現メカニズムや医学的対処法の研究が国内外で進んでおり、治療薬の開発も進んでいますが、どの遺伝子がどのように関連して症状を引き起こすのか、遺伝ではなく突然変異はどれくらいあるのか、環境要因とは具体的に何なのかなど、未だ解明されていないことが多くあります。

親のしつけや子育てが原因ではないことは言われています。

発達障害のグレーゾーン

グレーゾーンとは発達障害の特性があるが、診断基準は満たさない状態を指す通称です。発達障害は明確に「ここからが障害だ」と境界線を引くことができない障害です。広大なグレーゾーンがあり、障害と健常の間はグラデーションで繋がっています。

診断基準を満たす人より困りごとが少ないと思われがちですが、理解や支援を得られにくいなど、グレーゾーンならではの悩みもあります。

児童発達支援事業所や放課後等デイサービスなど、診断がなくても受けられる支援があるので、お子さまの発達に関して遅れや違和感を感じた場合には、早期に相談することをお勧めします。

早期から介入し、子どもに合った関わり方をしたり環境を整えることで、抑うつなど二次的な問題が起こるのを予防することができるとも言われています。

発達障害の種類と症状

発達障害はいくつかのタイプに分類されており、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害、学習障害など様々なものがあります。
複数のタイプの障害を抱えていることもあり、個人差が大きいことも特徴です。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉症スペクトラム障害とは、自閉症・アスペルガー症候群・高機能自閉症など、自閉症の特性を重度から軽度までを示す一群をさします。
ASDの特徴は、コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手です。また、特定のことに強い関心をもっていたり、こだわりが強かったりします。また、感覚の過敏さを持ち合わせている場合もあります。
上記の特徴に加え、自閉症は言葉の発達の遅れと知的な発達の遅れがあります。アスペルガー症候群は言葉の発達、知的な発達共に遅れはありません。高機能自閉症は言葉の発達に遅れがありますが、知的な発達の遅れはありません。

注意欠如・多動性障害(ADHD)

発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性があります。多動性−衝動性と不注意の両方が認められる場合も、いずれか一方が認められる場合もあります。

学習障害(LD)

全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の学習のみに困難が認められる状態をいいます。

読字障害 / ディスレクシア(dyslexia)
読字障害は字を読むことに困難がある障がいです。
「文字の読み方の認識が難しい」音韻処理の不全の場合と「文字の形の認識が難しい」視覚情報処理の不全の場合とがあります。

書字表出障害 / ディスグラフィア(Dysgraphia)
書字表出障害は書くことに困難のある障害です。書字障害と呼ぶこともあります。
「書き文字がマスや行から大きくはみ出してしまう」「年相応の漢字を書くことができない」「文字を書く際に余分に線や点を書いてしまう」などの困難が生じる場合があります。

算数障害 / ディスカリキュア(Dyscalculia)
算数や計算や考えて答えにたどり着くことに困難のある障害です。「簡単な数字や記号を理解しにくい」「数の大きい、小さいがよくわからない」「図形やグラフが理解できない」などの困難が生じる場合があります。

知的障害との関係

知的障害とは、全般的な知的発達の遅れがあるため、文字を通して学んだ知識を生活に応用することや概念の理解をすることが難しい障害です。
発達障害には、知的障害を合併している場合とそうでない場合があります。
知能指数(IQ)などで測定される知的障害に対し、発達障害はコミュニケーション能力や適応能力で診断されます。

発達障害のあるお子さまの育ちを支える制度やサービスは様々あります。もし「うちの子は発達障害かも?」と思ったら、是非相談して下さい。

提携療育事業をご紹介します。

発達障害療育ポータルサイト
dekkun(デックン)

dekkunは、子どもの発達に関するさまざまな情報をシェアする広場(ポータルサイト)です

言葉の遅れ、コミュニケーションが苦手、こだわりが強い、感情のコントロール、お友達と遊ぶの苦手、勉強が苦手、落ち着きがないなど子どもの発達に関する様々なことから

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害/限局性学習障害(LD)など発発達障害に関することダウン症など知的障害に関するさまざまな情報をお届け!

事業所検索

障がい福祉サービスに係る事業所の検索が可能です。現在は、児童発達支援・放課後等デイサービスなど障害児(重症心身障害児を含む)にかかわる障害児通所支援サービスを掲載しています

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発達が気になっている子どもや子育てに関する必要なヒントや情報から社会福祉制度やサービスなど様々な情報を掲載しています

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開業コンサル

障がい福祉サービスを提供する施設の数は充実していません

特別支援教育の制度を利用している子どもは全国で約41.7万人(義務教育において全児童数の4.2%)、通常の学級において学習面または行動面に著しい困難を示す児童数は8.8%です。(文部科学省初等中等教育教育局特別支援教育課令和4年12月13日)一人でも多くの子どもがサービスを受けられるようにするために開業コンサルを行っています。※フランチャイズではありません。

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