障がい福祉事業のマニュアルや規定等の作成について

author:弁護士法人AURA(アウラ)
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放課後等デイサービスなど障がい福祉事業におけるマニュアルや規定の作成について

障がい福祉事業においてマニュアルや規定を作成する必要性は以下のような理由が挙げられます。

  1. 事業の運営やサービス提供の一貫性を確保するため
  2. スタッフの教育や育成に役立つため マニュアルや規定を作成することで、スタッフの教育や育成に役立つことができます。具体的には、マニュアルや規定を参照することで、スタッフが業務を適切に行うことができるようになります。また、スタッフが業務を行う上での疑問や問題点があった場合には、マニュアルや規定を参照することで解決策を見つけることができます。
  3. 質の向上につながるため
  4. 法令遵守のため

以上のように、障がい福祉事業におけるマニュアルや規定の作成は、事業の運営やサービス提供の一貫性を確保するために不可欠であり、スタッフの教育や育成、質の向上、法令遵守にもつながる重要な役割を果たします。

事業の運営やサービス提供の一貫性を確保するため

マニュアルや規定を作成することで、事業の運営やサービス提供に一定のルールを設けることができます。また、マニュアルや規定を遵守することで、サービス提供の一貫性を確保し、利用者に対して公平かつ質の高いサービスを提供することができます。

スタッフの教育や育成に役立つため

マニュアルや規定を作成することで、スタッフの教育や育成に役立つことができます。具体的には、マニュアルや規定を参照することで、スタッフが業務を適切に行うことができるようになります。また、スタッフが業務を行う上での疑問や問題点があった場合には、マニュアルや規定を参照することで解決策を見つけることができます。

質の向上のため

マニュアルや規定を作成することで、事業の運営やサービス提供に関する情報を整理し、改善点を把握することができます。また、利用者やその家族からのフィードバックを取り入れて、マニュアルや規定を改善することで、より質の高いサービス提供が可能となります。

法令順守のため

障がい福祉事業には、法令によって定められた基準や規制があります。マニュアルや規定を作成することで、これらの法令に適合した運営やサービス提供を行うことができます。

マニュアルの作成

事業が始まるまでにできれば次のようなマニュアルを作成しておきましょう。

  • 虐待防止マニュアル
  • 苦情相談マニュアル
  • 感染症防止マニュアル(コロナウイルス対策を含む)
  • 事故防止マニュアル
  • 緊急時対応マニュアル
  • 災害対応マニュアル
  • 身体拘束対応マニュアル

措定権者によって準備する必要となるものは異なります。従業員の研修を行う際にも、これらのマニュアルを使用でくるので早めに用意をしましょう。

例えば、苦情相談マニュアルを作成する際には、苦情相談シート、事故防止マニュアルを作成する際はヒヤリハットシートなどを合わせて作成しておく必要があります。なお指定権者によっては、マニュアル類について、指定時や指定権者の現場確認時期までに必要としているところもがあります。

感染症防止マニュアルについては、新型コロナウイルス対応についても必ず記載して下さい。別途、コロナウイルス対応マニュアルについて作成している事業所も多くあります。

規定等(手順書など)の作成

規定についても作成しておく必要があります。必要な規定には様々なものがあります。同時に同意書を用意した方がよい規定もあります。特にグループホームでは「金銭管理規定」などの作成は必須です。防犯カメラを設置する場合には「防犯カメラ運用規定」(併せて同意書も)など最低限必要です。

グループホームにおける金銭管理規定及び防犯カメラの運用規定と同意書について

グループホームなどの障がい福祉事業において、金銭管理規定や防犯カメラ運用規定、同意書を作成する必要性がある理由は以下の通りです。

金銭管理規定

グループホームなどでは、利用者が日常生活に必要なお金を管理する必要があります。しかし、障がいを持つ利用者にとって、お金の管理や使い方に関する理解力や判断力が十分に備わっていない場合があります。そのため、グループホームでは利用者の利益を守りながら、適切にお金を管理する必要があります。金銭管理規定を作成することで、お金の管理に関するルールを定め、利用者やスタッフがそれを遵守することで、お金の適切な管理と利用者の利益保護ができます。

防犯カメラ運用規定

グループホームなどの施設では、利用者の安全を確保するために、防犯カメラを設置することがあります。しかし、防犯カメラはプライバシーや個人情報の保護などにも関わるため、運用方法には細心の注意が必要です。防犯カメラ運用規定を作成することで、カメラの設置目的や範囲、記録期間などのルールを明確にし、スタッフが適切な方法で運用することができます。これにより、利用者のプライバシーや個人情報を守りつつ、安全を確保することができます。

同意書について

グループホームなどの障がい福祉事業では、利用者の生活や医療に関する情報を取り扱うことがあります。利用者やその家族からは、その情報を適切に管理し、漏洩や不正利用を防止することが求められます。同意書を作成することで、利用者やその家族が情報管理について理解し、同意することができます。また、同意書には利用者の意向や希望、権利なども明記されるため、適切なケアやサポートを提供するための情報を収集することができます。

就労継続支援B型について

就労継続支援B型のサービスなどで、工賃が発生する場合には「工賃規定」を作成し工賃の支払い基準を明確にする必要があります。平均工賃月額に応じた報酬体系を選択している場合は、「工賃工場計画」の作成が必須になりました。(令和3(2021)年度の報酬改定以前は、目標工賃達成指導員加算を取得している場合のみ必要でした)

さらに、事業所で必要と考えられる規定は、必ず文章化して従業員の研修などで周知させましょう。例として、次の規定などは必要に応じて作成することで従業員によってサービスの質が変わらないよう均質化することで役に立つ場合があります。

  • 倫理行動規定
  • 職員行動規定
  • 服薬手順書
  • 業務手順書
  • 送迎手順書
  • バイタルチェック表
  • ボランティア対応マニュアル など

まとめ

これらの理由から、マニュアルや規定を作成することで、事業の運営やサービス提供に一定のルールを設け、運営やサービス提供の一貫性を確保し、スタッフの教育や育成に役立ち、質の向上につながり、法令に適合した運営やサービス提供を行うことができます。


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