障がい福祉事業における、サービス利用者と契約後の手続きについて

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放課後等デイサービスなど障がい福祉事業で、利用者とサービスの契約をした後の手続きとは?

希望者が利用できるまでの手順

障がい福祉事業の指定を受け営業活動を行った結果、利用希望者又は保護者が事業所の見学や体験などを行い、利用したいと契約をしたうえで事業所を利用することができます。その際、利用するために必要となるのは「受給者証」です。もし受給者証がない場合は、原則として利用者が居住している市区町村で受給者証を取得する必要があります。その際、利用者が障がい福祉サービスを受けるために事業所は次のような手順を踏む必要があります。

  1. 利用者の受給者証を確認し、事業所のサービスに該当するかどうか確認を行う
  2. 重要事項説明書を説明し、同意を得たら証明と押印を受けて交付する
  3. 利用契約書について説明を行い、契約締結後に交付する
  4. 関係書類への同意や署名を行う
  5. 受給者証への法人名:事業所名と契約費:契約日数を記載する
  6. 契約内容報告書を作成し、市役所もしくは区役所へ郵送する

サービスの提供拒否の禁止について

障がい福祉事業では、正当な利用がない限りサービスの提供拒否を行うことはできません。特に、障害支援区分や所得の多寡を理由にサービスを提供を拒否することはできません。正当な理由とは次の場合等に限られます。

正当な理由としてあげられるもの
通常の実施地域以外である場合
主たる対象とする障がいの種類を定めている場合で、適切なサービスを提供できない場合
入院治療が必要な場合

アセスメントの実施について

利用者との契約に続いて、サービスをするためにアセスメント(利用者との面談)を行い「個別支援計画」を作成する必要があります。利用者が相談支援事業所を利用している場合は連携しましょう。障がい福祉事業では、個別支援計画を基にサービスを提供する必要があるので、個別支援計画がない段階で原則としてサービスを提供することができません。アセスメントとは利用者や家庭の情報、環境などの利用者の状況を把握し、身体や日常生活の状況、希望する生活や課題等を把握することを示します。このアセスメントをもとに個別支援計画を作成することになるので、アセスメントはとても」重要な作業です。

アセスメント及び個別支援計画の作成は、サービス管理責任者又は児童発達支援管理責任者の責務です。アセスメントの記録(面談日や面談内容など)は必ず残す必要があります。

なぜ個別支援計画がないと利用できないの?

個別支援計画とは、利用者のニーズや希望に応じた支援内容や目標を明確に定め、サービス提供に必要な情報を整理し、スタッフ間での共有を図るための計画です。以下に、個別支援計画がない段階でサービス提供が原則としてできない理由を説明します。

法定要件を満たすため

障がい福祉サービスは、障がい者自身の意思を尊重し、利用者に対して最適な支援を提供することが求められます。個別支援計画は、利用者自身が求める支援内容や目標を明確にするために必要なものであり、法的な要件を満たすためにも必要とされています。

サービス提供の質を確保するため

個別支援計画を作成することで、利用者のニーズや希望に合わせた適切な支援を提供することができます。逆に、個別支援計画がない状態でサービス提供を行うと、利用者のニーズや希望に沿った支援を行うことが困難になり、サービス提供の質が低下する可能性があります。

スタッフ間の情報共有を図るため

個別支援計画は、スタッフ間での情報共有や連携を図るためのものでもあります。スタッフが個別支援計画に基づいて支援を提供することで、利用者に対して一貫性のある支援を行うことができます。逆に、個別支援計画がない状態でサービス提供を行うと、スタッフ間での共有が困難になり、利用者に対してバラバラの支援を行うことになる可能性があります。

以上の理由から、障がい福祉サービスを提供する際には、個別支援計画の作成が必要とされています。個別支援計画は、利用者自身のニーズや希望に応じた支援を提供するための重要なツールであり、サービス提供の質を確保するために不可欠なものです。また、スタッフ間での情報共有や連携を図ることで、利用者に対して一貫性のある支援を行うことができます。個別支援計画がない段階でサービス提供を行うと、利用者のニーズや希望に沿った支援を行うことが困難になり、サービス提供の質が低下する可能性があります。また、個別支援計画の作成によって、障がい者本人やその家族とスタッフが協働することが重要です。障がい福祉サービスは、利用者が主体的に参加し、自己決定を尊重した支援を提供することが求められています。個別支援計画を作成することで、利用者や家族が支援内容や目標について意見を出すことができるため、より利用者のニーズに合わせた支援を提供することができます。障がい福祉事業においては、個別支援計画の作成が必要不可欠であるとされています。個別支援計画を作成することで、法的要件を満たし、サービス提供の質を確保することができます。また、利用者や家族と協働しながら支援内容や目標を決定することで、より利用者のニーズに合わせた支援を提供することができます。

個別支援計画の作成と個別支援会議の開催

アセスメントを終了した後、サービス管理責任者又は児童発達支援管理責任者はそのアセスメントを基に個別支援計画(下男)を検討したうえで作成します。この原案を基に、支援にあたる担当者や利用者(保護者)などが出席する個別支援会議(担当者会議)を開催し、原案についての検討を行います。この会議を開催した議事録や会議の記録は必ず作成して下さい。

個別支援計画の交付

個別支援計画には必ず、利用者や保護差の理解と同意を得て(署名・押印をもらう)、計画書を交付して下さい。障がい福祉サービスを提供するためには、個別支援計画により適正な支援内容を確定させることが必要であることから、個別支援計画はサービス提供の際には最も重要な部分の一つです。

個別支援計画を作成しない場合とは

障がい福祉事業では個別支援計画を作成していない場合は、個別支援計画未作成の減算が適用されます。これにより、減算が適用される月~3か月未満まで100分の70の算定(30%減算)となります。また3か月以上連続して未作成が解消されない場合、100分の50の算定(50%減算)となります。なお、サービス管理責任者又は児童発達支援管理責任者以外の者が作成した個別支援計画は有効なものとはみなされません。

運営を始めてからサービス管理責任者又は児童発達支援管理責任者が退職することもあります。敏速に管理者の募集を行って採用することが重要です。

減算が適用となる対象サービス
療養介護
生活介護
施設入所支援
自立訓練
自立生活援助
共同生活援助
児童発達支援
児童発達支援センター
放課後等デイサービス
居宅型児童発達支援
保育所等訪問支援
障害児入所施設

モニタリングの実施

サービス管理責任者又は児童発達支援管理責任者は、利用者や保護者と定期的に面接を行い、個別支援計画の実施状況の把握を行います。これをモニタリングと言います。

モニタリングの実施期間
少なくとも3か月に1回以上就労移行支援、自立訓練(生活訓練、機能訓練)
少なくとも6か月に1回以上療養介護、生活介護、施設入所支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助、児童発達支援、児童発達支援センター、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、障害児入所施設など

モニタリングが終わったあとは、モニタリング報告書を作成する必要があります。なお、個別支援計画を見直す必要がある場合は、個別支援計画を新たに立て直したり、修正する必要が出てきます。この場合、まず個別支援計画(原案)を作成し、これまでに説明した順序にもとづいて、個別支援会議を開催し、個別支援計画(案)の作成を行ないます。

契約内容報告書の作成

利用者と契約を行なったあとは、利用者ごとに「契約内容報告書」を作成し、利用者の居住する各市区町村に送付する必要があります。各市区町村では、毎月の送付期限に間に合わなかった場合は、当月のデータを国保連に送ることができず、請求が翌月に繰越しになる場合があります。

また、契約を終了した場合にも、契約内容報告書に記載し、送付する必要があります。なお、契約内容報告書は、全国でほぼ同じものを使用していますが、指定を受けた指定権者のホームページからダウンロードして使用してください。

就労継続支援A型のサービスの場合

「就労継続支援A型」のサービスは、他のサービスと異なり、利用者を「雇用」することになります。そこで、利用契約書や重要事項説明書に加え、利用者との「雇用契約書」または「労働条件通知書」を作成する必要があります。

また、事業所の従業員用だけでなく、利用者サイドの「就業規則」や「規程」の作成が、場合によっては必要になるケースがあるので注意してください。令和3年(2021年)度の報酬改定でスコア方式が導入され、利用者の「多様な働き方」が評価されることになりました。

この「多様な働き方」については、規程(就業規則その他これに準ずるもの)で定めることにより、評価対象となります(以下にあげた評価要素のなかから任意の5項目)。

多様な働き方の評価要素
⑴ 免許および資格の取得の促進ならびに検定の受験の勧奨に関する
事項
⑵ 当該就労継続支援A型事業所の利用者を、職員(利用者を除く)として登用する制度に係る試験等の手続き、対象者の要件および採用時期に関する事項
⑶ 在宅勤務に係る労働条件および服務規律に関する事項
⑷ フレックスタイム制に係る労働条件に関する事項
⑸ 1日の所定労働時間を短縮するに当たり必要な労働条件に関する
事項 
⑹ 早出・遅出勤務に係る労働条件に関する事項
⑺ 時間を単位として有給休暇を付与または計画付与制度の取得に関する事項
⑻ 従業者が私的に負傷し、または疾病にかかった場合の療養のための休暇の取得に関する事項
厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」から抜粋

利用料金の支払い

契約に基づいて、利用者が利用料金を支払うことになります。支払い方法や期限については、契約書に明記されていますので、利用者はそれに従って支払いを行う必要があります。障がい福祉事業において、利用者とサービスの契約が成立した後の手続きにおいて、利用料金の支払いについては以下のような説明があります。

支払い金額

利用者が支払う金額は、契約に基づいて決められた利用料金です。利用料金には、サービス提供者が提供するサービスの種類、利用時間、利用頻度、利用者の障がいの程度や支援が必要な程度などによって異なります。

支払い方法

支払い方法は、契約書に明記されています。一般的には、銀行振込や現金払いが選択できます。利用者は、支払い方法に従って利用料金を支払う必要があります。

支払い期限

支払い期限は、契約書に明記されています。利用料金は、利用期間の初日から最後の日までの期間に対して支払う必要があります。支払い期限を過ぎると、利用者は遅延金を支払うことになります。

支援制度

障がい福祉事業には、国や地方自治体が提供する支援制度があります。例えば、障がい者自立支援法に基づく自立支援医療費制度や、障がい児通所支援事業における児童手当、介護保険制度における自己負担額減免などがあります。利用者は、自身の状況に合わせてこれらの支援制度を活用することができます。

以上が、障がい福祉事業において、利用者とサービスの契約が成立した後の手続きにおいて、利用料金の支払いに関する説明です。利用者は、契約書に明記された支払い方法や期限に従って利用料金を支払うことが求められます。また、利用者自身の状況に合わせて、支援制度を利用することも重要です。

サービスの利用と評価

障がい福祉事業において、利用者とサービスの契約が成立した後の手続きにおいて、サービスの利用と評価には以下のような説明があります。

サービスの利用

利用者は、契約に基づいてサービスを利用することができます。利用者のニーズやサービス提供計画に基づいて、サービス提供者が必要な支援やサービスを提供します。利用者は、利用状況や必要な支援について、サービス提供者と定期的にコミュニケーションをとる必要があります。

サービスの評価

サービス提供者は、利用者のニーズやサービス提供計画に基づいて、サービスを提供することが求められます。定期的に利用状況を確認し、サービス提供計画の見直しや改定が必要な場合は、利用者と相談しながら調整を行います。また、利用者の健康状態や利用状況に合わせて、必要なサービスの提供を行います。

評価の方法

評価の方法には、利用者とサービス提供者の双方が関与する方法があります。例えば、定期的に面談を行い、利用者のニーズや状況について話し合うことができます。また、利用者が提供されたサービスに満足しているかどうかをアンケートや評価シートで調査することもできます。評価結果をもとに、サービス提供計画の改定や、サービス提供者の選定を検討することができます。

以上が、障がい福祉事業において、利用者とサービスの契約が成立した後の手続きにおいて、サービスの利用と評価に関する説明です。利用者は、サービス提供者と定期的にコミュニケーションをとりながら、自身のニーズに合わせたサービスを受けることが求められます。また、サービス提供者は、利用者のニーズや状況に合わせたサービスを提供し、定期的に評価を行い、改善を行うことが必要です。

まとめ

障がい福祉事業において、利用者とサービスの契約が成立した後の手続きに関する注意点としては下記の通りです。

  • サービス提供計画や契約書など、書類の内容を十分に確認すること。
  • 利用料金の支払い期限や方法について、契約書に明記されている内容に従うこと。
  • 必要な書類や健康状態の確認など、利用開始の手続きを適切に行うこと。
  • サービスの利用状況や必要な支援について、サービス提供者と定期的にコミュニケーションをとること。
  • サービス提供計画やサービス内容に不満がある場合は、適切に相談すること。

 また利用者とサービスの契約が成立した後の手続きにおいては次のようなことがあげられます。

  • 障がい福祉事業においては、利用者のニーズや状況に合わせたサービス提供が求められます。
  • 利用者は、自身の状況に合わせてサービス提供者を選定し、サービス提供計画を作成する必要があります。
  • 利用者とサービス提供者は、定期的なコミュニケーションをとりながら、サービス提供計画の見直しや改定を行い、より適切なサービスを提供することが求められます。
  • 利用者は、利用料金の支払いや必要な手続きに適切に対応し、サービス提供者と協力して、自身の生活や社会参加を支援することが重要です。

障がい福祉事業において、利用者とサービスの契約が成立した後の手続きに関する注意点や総括です。利用者は、自身のニーズに合わせたサービスを利用し、サービス提供者と協力しながら、より充実した生活を過ごすことが可能となるでしょう。


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