【身体障害者福祉法】法律条文を分かりやすく解説

author:弁護士法人AURA(アウラ)
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身体障害者福祉法(しったいしょうがいしゃふくびほう)は、日本における身体障害者やその家族に対する支援を定めた法律です。この法律は、身体障害者の生活をサポートし、社会参加を促進するための重要な法的枠組みを提供しています。しかし、法律の文言はしばしば専門的で難解であり、多くの人にとっては理解が難しいものとなっています。

本コラムでは、身体障害者福祉法の主要な条文をわかりやすく解説し、その重要性や具体的な適用事例を紹介します。身体障害者やその家族、また関心を持つすべての方々に、この法律の本質を理解しやすくするお手伝いをいたします。さあ、身体障害者福祉法の奥深い世界に一緒に入り込んでみましょう。

目次

第1章 総則

第1条(法の目的)

この法律の目的は、身体障害者が自立し、社会的な活動に参加できるよう支援し、必要に応じて保護し、身体障害者の福祉を向上させることです。言い換えると、この法律は身体障害者の生活の質を向上させ、社会経済活動への積極的な参加を促進することを目指しています。

第2条(自立への努力及び機会の確保)

すべての身体障害者は、自身の障害を克服し、自分の能力を最大限に活用して社会経済活動に参加できるように努力しなければなりません。また、身体障害者は、社会の一員として、社会、経済、文化などのさまざまな分野で活動する機会を得られるべきです。

第3条(国、地方公共団体及び国民の責務)

国や地方自治体は、前述の理念が実現されるように努力し、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するために、綜合的な支援と必要な保護(「更生援護」とも呼ばれます)を提供する責務があります。国民も、社会的な結束を大切にし、身体障害者が自分の障害を克服し、社会経済活動に積極的に参加しようとする努力を支援する責務を担っています。

第4条(身体障害者)

この法律で言う「身体障害者」とは、十八歳以上で、身体的な障害がある人で、都道府県知事から身体障害者手帳を交付された人を指します。

第4条の2(居宅事業)

この法律で言う「身体障害者居宅支援」とは、身体障害者居宅介護、身体障害者デイサービス、身体障害者短期入所を指します。

  • 「身体障害者居宅介護」は、身体障害者が自宅で行う入浴、排泄、食事などの介護や、日常生活を送るのに必要な支援を提供することを指します。
  • 「身体障害者デイサービス」は、身体障害者やその介護者が施設に通い、創造的な活動、機能訓練、介護方法の指導などの支援を受けることを指します。
  • 「身体障害者短期入所」は、身体障害者の介護者が一時的な休息を取るために、特定の施設に短期間入所することを指します。

第5条(施設等)

この法律では、「身体障害者更生援護施設」とは、身体障害者の更生支援を行う施設を指し、さまざまな種類の施設が含まれます。これには、身体障害者更生施設、身体障害者療護施設、身体障害者福祉ホーム、身体障害者授産施設、身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設、視聴覚障害者情報提供施設が含まれます。これらの施設は、身体障害者にさまざまな支援やサービスを提供する役割を果たしています。

第2節 削除〔平一一法一〇二〕

第6条から第8条まで

削除

この部分は、「第2節」に関連する法律の条文を削除することを指しています。したがって、第6条から第8条までの削除内容は解説する必要がありません。

第9条(援護の実施者)

この法律に定める身体障害者又はその介護を行う者に対する援護は、身体障害者が居住地を有するときは、その身体障害者の居住地の市町村が、身体障害者が居住地を有しないか、又はその居住地が明らかでないときは、その身体障害者の現在地の市町村が行うものとする。

この条文は、法律において身体障害者やその介護を行う者に援護を提供する責務を規定しています。具体的には、身体障害者が居住地を持っている場合、その居住地の市町村が援護を行い、居住地がない場合は現在地の市町村が援護を担当することとされています。

2

前項の規定にかかわらず、第十七条の十第一項の規定により施設訓練等支援費の支給を受けて又は第十八条第三項の規定により入所措置が採られて身体障害者療護施設に入所している身体障害者及び生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十条第一項ただし書の規定により入所している身体障害者(以下この項において「特定施設入所身体障害者」と総称する。)については、その者が身体障害者療護施設又は同項ただし書に規定する施設(以下この項において「特定施設」という。)への入所前に居住地(継続して二以上の特定施設に入所している特定施設入所身体障害者(以下この項において「継続入所身体障害者」という。)については、最初に入所した特定施設への入所前に有した居住地)を有した者であるときは、その居住地の市町村が、その者が入所前に居住地を有しないか、又は明らかでなかつた者であるときは、入所前におけるその者の所在地(継続入所身体障害者については、最初に入所した特定施設の入所前に有した所在地)の市町村が、この法律に定める援護を行うものとする。

この部分は、特定の身体障害者や施設に関する具体的な援護の提供について規定しています。特に、特定の施設に入所している身体障害者に対して、その入所前の居住地や所在地に応じて援護を行う責務が市町村に課せられています。

3

市町村は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

以下は、指定された情報をテーブル形式に書き換えたものです。

項目内容
– 身体に障害のある者を発見する。
– その相談に応じる。
– 福祉の増進のために必要な指導を行う。
– 身体障害者の福祉に関する情報の提供を行う。
– 身体障害者の相談に応じる。
– 生活の実情や環境を調査する。
– 更生援護の必要の有無及びその種類を判断する。
– 本人に対して、直接に、又は間接的に、社会的更生の方途を指導する。
– これに付随する業務を行う。

この部分は、市町村に課された具体的な業務について述べています。市町村は、身体障害のある者を発見し、相談に応じて指導を行ったり、身体障害者の福祉に関する情報提供を行ったり、更生援護の必要性を判断し、本人に対して社会的更生の方途を指導する責務があります。

4

市町村は、前項第二号の規定による情報の提供並びに同項第三号の規定による相談及び指導のうち主として居宅において日常生活を営む身

体障害者及びその介護を行う者に係るものについては、これを身体障害者相談支援事業を行う当該市町村以外の者に委託することができる。

この部分では、市町村が身体障害者に提供する情報提供や相談指導のうち、特に居宅で生活する身体障害者やその介護者に関する業務を、市町村以外の機関に委託できることが規定されています。

5

その設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)に身体障害者の福祉に関する事務をつかさどる職員(以下「身体障害者福祉司」という。)を置いていない市町村の長及び福祉事務所を設置していない町村の長は、第三項第三号に掲げる業務のうち専門的な知識及び技術を必要とするもの(次条第二項及び第三項において「専門的相談指導」という。)については、身体障害者の更生援護に関する相談所(以下「身体障害者更生相談所」という。)の技術的援助及び助言を求めなければならない。

この部分は、身体障害者福祉司を置いていない市町村や福祉事務所を設置していない町村の場合に、専門的な知識や技術が必要な業務について、身体障害者更生相談所から技術的援助や助言を求めなければならないことを規定しています。

6

市町村長は、第三項第三号に掲げる業務を行うに当たつて、特に医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、身体障害者更生相談所の判定を求めなければならない。

この部分は、市町村長が第三項第三号に規定される業務の実施において、医学的、心理学的、職能的な判定が必要な場合、身体障害者更生相談所にその判定を求めなければならないことを規定しています。

7

市町村長は、この法律の規定による市町村の事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任することができる。

この部分は、市町村長がこの法律に基づく事務を行うために、行政庁に一部または全部の事務を委任できることを規定しています。これにより、適切な事務の効率的な実施が可能となります。

第9条の2(市町村の福祉事務所)

市町村の設置する福祉事務所又はその長は、この法律の施行に関し、主として前条第三項各号に掲げる業務又は同条第五項及び第六項の規定による市町村長の業務を行うものとする。

この部分は、市町村の福祉事務所やその長に、前条で規定された業務や市町村長の業務を主に行う責務を課しています。具体的には、前条第三項の業務や市町村長の業務を担当することが求められます。

2

市の設置する福祉事務所に身体障害者福祉司を置いている福祉事務所があるときは、当該市の身体障害者福祉司を置いていない福祉事務所の長は、専門的相談指導については、当該市の身体障害者福祉司の技術的援助及び助言を求めなければならない。

この部分は、市が福祉事務所に身体障害者福祉司を配置している場合、他の福祉事務所の長は専門的な相談指導について、配置されている市の身体障害者福祉司から技術的援助や助言を求めなければならないことを規定しています。

3

市町村の設置する福祉事務所のうち身体障害者福祉司を置いている福祉事務所の長は、専門的相談指導を行うに当たつて、特に専門的な知識及び技術を必要とする場合には、身体障害者更生相談所の技術的援助及び助言を求めなければならない。

この部分は、身体障害者福祉司を配置している福祉事務所の長が専門的な相談指導を行う際、特に専門的な知識や技術が必要な場合、身体障害者更生相談所から技術的援助や助言を求めなければならないことを規定しています。

第10条(連絡調整等の実施者)

都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

項目内容
– 市町村の援護の実施に関する業務。
– 市町村相互間の連絡調整。
– 市町村に対する情報の提供。
– その他必要な援助の実施。
– これらに付随する業務を行う。
– 身体障害者の福祉に関する業務。
– 広域的な見地から実情の把握に努める業務。
– 専門的な知識及び技術を必要とする身体障害者に関する相談及び指導の業務。
– 身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定の業務。
– 補装具の処方及び適合判定の業務。

2

都道府県知事は、市町村の援護の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。

3

都道府県知事は、第一項又は前項の規定による都道府県の事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。

この部分では、都道府県の役割について規定されています。都道府県は、市町村の援護の実施に関して連絡調整や情報提供などの業務を行い、広域的な見地から身体障害者の状況を把握し、専門的な相談や医学的・心理学的な判定を行い、補装具の処方や適合判定を行います。また、都道府県知事は市町村に対し必要な助言を行う権限を持ち、都道府県の事務の一部を委任することができます。

第11条(更生相談所)

都道府県は、身体障害者の更生援護の利便のため、及び市町村の援護の適切な実施の支援のため、必要の地に身体障害者更生相談所を設けなければならない。

この部分では、都道府県が身体障害者の更生援護の支援と市町村の援護の適切な実施を目的として、必要な地域に身体障害者更生相談所を設けることを規定しています。身体障害者更生相談所は、身体障害者の福祉に関する業務を主に行います。

2

身体障害者更生相談所は、身体障害者の福祉に関し、主として第十条第一項第一号に掲げる業務(第十七条の三第一項の規定によるあつせん、調整若しくは要請又は第十八条第三項の措置に係るものに限る。)及び第十条第一項第二号ロからニまでに掲げる業務を行うものとする。

この部分では、身体障害者更生相談所が行う業務について具体的に規定されています。これには身体障害者の相談や調整、要請、措置などの業務が含まれます。

3

身体障害者更生相談所は、必要に応じ、巡回して、前項に規定する業務を行うことができる。

この部分では、身体障害者更生相談所が必要に応じて巡回し、前項で規定された業務を行うことができることを規定しています。これにより、地域に応じた支援が行えます。

4

前各項に定めるもののほか、身体障害者更生相談所の設置及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

第2章 更生援護

第13条(指導啓発)

この条文は、身体障害の予防と早期治療、身体に障害のある人々の福祉に関する国民の意識を高めるために、国と地方自治体が国民に対して情報提供や指導を行うことを規定しています。簡単に言えば、身体障害についての理解を広め、支援や予防策について指導することが役割です。

第14条(調査)

この条文では、厚生労働大臣が身体障害の状況について調査し、それに基づいて適切な福祉サービスが提供されるように努力しなければならないことが規定されています。厚生労働大臣は、都道府県知事や他の行政機関に調査報告を求めることもできます。

第14条の2(支援体制の整備等)

この条文は、市町村が地域の実情に応じて、身体障害者に対して適切な福祉サービスを提供するための体制を整備し、必要な支援を提供する役割を担うことを要求しています。市町村は、身体障害者が自宅で日常生活を送ることができるように配慮する必要もあります。

第15条(身体障害者手帳)

この条文は、身体に障害のある人が身体障害者手帳を申請できる条件やプロセスについて規定しています。また、身体障害者手帳は、障害の種類によって発行され、その手帳を持つことで様々な支援が受けられます。

第16条(身体障害者手帳の返還)

この条文は、身体障害者手帳の保有者が、障害がなくなった場合や亡くなった場合に手帳を返還する義務を規定しています。また、手帳の返還を求める理由や手続きについても詳しく説明しています。

これらの条文は、身体障害者の福祉とサポートを提供するための法的枠組みを提供しています。身体障害者やその家族、支援従事者にとって、法的な権利と責任を理解するのに役立つ重要な情報です。

第17条

前条の第二項に基づく処分についての通知は、聴聞の日程が設定された日から10日前までに行われなければなりません。これは、行政手続きにおいて、当事者に対する通知の期限を定めている規定です。通知の期限を設けることで、当事者に適切な機会を提供し、意見を述べるための準備をする時間を確保します。

第17条の2(診査及び更生相談)

この条文では、市町村が身体障害者に対して診査や更生相談を行うことが義務付けられています。必要な場合、以下の措置を取らなければなりません。

  1. 医療や保健指導が必要な場合、医療保健施設への紹介を行うこと。
  2. 職業訓練や就職斡旋が必要な場合、公共職業安定所への紹介を行うこと。
  3. その他、更生に必要な指導を行うこと。

医療保健施設や公共職業安定所は、市町村から身体障害者への紹介がある場合、その更生を支援する義務があります。

第17条の3(利用の調整等)

市町村は、身体障害者からの要望に応じて、身体障害者居宅生活支援事業やその他の支援事業、身体障害者更生援護施設の利用について調整や提案を行います。また、事業者はできる限り協力することが求められます。

第2節 居宅生活支援費及び施設訓練等支援費

この節では、居宅生活支援費と施設訓練等支援費に関する規定が述べられています。これらは、障害者への支援や訓練に必要な費用の支給に関するものです。

第17条の4(居宅生活支援費の支給)

市町村は、身体障害者が身体障害者居宅支援を利用するために指定された事業者に申し込みをし、その支援を受けた場合、必要な費用について居宅生活支援費を支給します。ただし、特定の費用については除外されます。

第17条の5(居宅生活支援費の受給の手続)

障害者は、居宅生活支援費を受けるために、身体障害者居宅支援の種類ごとに、市町村に申請しなければなりません。市町村は、申請を受けた際、障害の種類や程度、介護を行う者の状況などを勘案して、支給の要否を判断します。

第17条の11(施設訓練等支援費の受給の手続)

  • 身体障害者が施設訓練等支援費を受けるためには、市町村に申請しなければならない。
  • 市町村は申請を受けた際に、障害の程度、介護者の状況、支援費の受給などを考慮して、支援費の支給を決定する。
  • 支給決定には支給期間と障害程度区分を含む必要な情報を定めなければならない。

第17条の12(身体障害程度区分の変更)

  • 施設支給決定身体障害者が障害程度区分を変更する必要がある場合は、市町村に申請できる。
  • 市町村は必要に応じて障害程度区分の変更を決定し、施設受給者証に記載する。

第17条の13(施設支給決定の取消し)

  • 施設支給決定は、施設支援が不要になった場合や居住地が異なる市町村になった場合に取り消さなければならない。
  • 取消しを行った市町村は、施設受給者証の返還を求める。

第17条の14(更生訓練費の支給)

  • 市町村は、効果的な訓練を受けるために必要と判断される場合、更生訓練費を支給することができる。

第17条の15(文書の提出等)

  • 市町村は、支援費の支給に関連して必要な文書や情報の提出を求めることができる。

第17条の16(厚生労働省令への委任)

  • 支援費に関する詳細な事項は、厚生労働省令によって定められる。

第17条の21(報告等)

この条文は、社会福祉に関与する人々や障害者を家族に持つ人々に向けて、わかりやすく説明します。

都道府県知事は、居宅生活支援費の支給について必要だと認める場合、指定された居宅支援の専門家や関連のある従業員に対して、報告書や帳簿の提出、提示を指示し、出頭を要求し、関連する質問を行い、施設や文書類などの検査を行う権限を持つことができます。

また、職員は身分を示す証明書を持ち歩き、関係者からの要求がある場合には提示しなければなりません。ただし、この権限は犯罪捜査のために使用されるものではありません。

第17条の22(指定の取消し)

この条文は、指定された居宅支援の専門家が指定を取り消す場合を説明します。

都道府県知事は、次の条件が該当する場合、指定された居宅支援の専門家の指定を取り消すことができます:

  1. 指定された居宅支援の専門家が、必要な知識や技能、従業員数などに関して、厚生労働省の基準を満たせなくなった場合。
  2. 指定された居宅支援の専門家が、指定された居宅支援の事業を適切に運営できなくなった場合。
  3. 居宅生活支援費の請求に不正があった場合。
  4. 指定された居宅支援の専門家が、報告や帳簿の提出を命じられたにもかかわらず従わず、または虚偽の報告をした場合。
  5. 指定された居宅支援の専門家または関連する施設の従業員が、出頭を求められたにもかかわらず応じず、質問に答えず、または虚偽の答えをした場合(ただし、指定された居宅支援の専門家が適切な監視を行った場合は除く)。
  6. 指定された居宅支援の専門家が不正手段で指定を受けた場合。

市町村は、指定された居宅支援の専門家に関する情報を都道府県知事に通知する権利を持っています。

第17条の23(公示)

この条文は、都道府県知事が公示を行う場合を説明します。

都道府県知事は、以下の場合には、それを公示しなければなりません:

  1. 指定された居宅支援の専門家の指定をした場合。
  2. 届出があった場合(ただし、特定の変更や事業の休止と再開に関するものを除く)。
  3. 前の条文に基づいて指定を取り消した場合。

これにより、関係者に対して情報が提供され、透明性が確保されます。

第4節 居宅介護、施設入所等の措置

第18条(居宅介護、施設入所等の措置)

この法文は、身体障害者に対する居宅介護や施設入所などの支援に関する内容を説明しています。

  1. 身体障害者居宅支援: 市町村は、身体障害者が居宅で支援が必要で、何らかの理由で居宅生活支援費や特例居宅生活支援費を受けることが難しいと認められる場合、その基準に従って身体障害者居宅支援を提供できる。また、別の機関に支援の提供を委託することもできます。
  2. 日常生活用具: 市町村は、日常生活に支障がある身体障害者に対して、生活を助けるための用具(日常生活用具)を提供または貸与できる。これは、厚生労働大臣の基準に基づいて行われます。
  3. 身体障害者更生施設等への入所: 身体障害者が身体障害者更生施設等に入所することが難しい場合、市町村はその者を自身が運営する身体障害者更生施設等に入所させるか、国や他の地方自治体、または社会福祉法人が運営する施設に入所させることを義務付けられます。

第18条の2(更生訓練費の支給)

この法文は、身体障害者更生施設等に入所させたり、委託したりする場合の支援に関する内容を説明しています。

  1. 準用規定: 前述の法文に基づき身体障害者が施設に入所した場合、第十七条の十四の規定が適用されます。
  2. 更生訓練費: ただし、国立施設への入所が委託された場合、更生訓練費や物品の支給に関して、国立施設の長が行うことができる。

第18条の3(措置の解除に係る説明等)

この法文は、措置の解除に関するプロセスについて説明しています。

市町村長が第十七条の二第一項第三号、第十八条、または第四十九条の二の措置を解除する際には、事前に措置の理由を説明し、当該措置に関係する人に意見を聴く必要があります。ただし、当該措置の解除を申し出た場合や特定の場合には、この手続きは適用されません。

第18条の4(行政手続法の適用除外)

この法文は、措置の解除に関する処分に対して、行政手続法の一部の規定を適用しないことを示しています。

第5節 更生医療、補装具等

第19条(更生医療)

この法律では、身体障害者が更生医療を必要とする場合について説明しています。

  1. 更生医療の提供: 市町村は、身体障害者が更生医療が必要であると認める場合、その者の要求に応じて、更生医療を提供したり、更生医療にかかる費用を支給したりすることができます。
  2. 支給の条件: 更生医療の提供や費用支給は、更生医療の提供が難しい場合に限り行われます。
  3. 更生医療内容: 更生医療には診察、薬剤や治療材料の提供、医学的処置や手術、居宅での療養支援や看護、病院や診療所での入院支援などが含まれます。
  4. 医療機関の指定: 更生医療は、厚生労働大臣や都道府県知事が指定した医療機関で提供されます。

第19条の2(医療機関の指定)

この法律では、更生医療を提供するために指定される医療機関について説明しています。

  1. 指定医療機関の指定: 厚生労働大臣は国立病院や診療所、都道府県知事は他の医療機関や薬局などを指定し、更生医療を担当させます。
  2. 業務範囲の拡充: 指定医療機関は、更生医療に加えて育成医療や戦傷病者特別援護法に基づく更生医療も担当します。
  3. 指定の辞退: 指定医療機関は、一定期間の予告の後、指定を辞退することができます。
  4. 指定取り消し: 指定医療機関が違反した場合、変更があった場合、または不適切な場合、厚生労働大臣や都道府県知事が指定を取り消すことができます。

第19条の3(指定医療機関の義務)

指定医療機関は、更生医療を懇切丁寧に提供する責任があります。

第19条の4(診療方針及び診療報酬)

指定医療機関の診療方針や診療報酬は、健康保険の診療方針と報酬に基づいて決定されます。ただし、その他の場合には厚生労働大臣が決定します。

第19条の5(医療費の審査及び支払)

都道府県知事は指定医療機関の提供した更生医療内容や請求された診療報酬を審査し、支払額を決定します。指定医療機関はこの決定に従う必要があります。

第19条の6(報告の請求及び検査)

都道府県知事は、指定医療機関の診療報酬請求が適正かどうかを調査するために必要な情報を報告させたり、診療録などの書類を検査させることができます。

第19条の7(支給費用の額)

支給される費用は、指定医療機関が請求した診療報酬の額に基づいて算定されますが、身体障害者やその扶養義務者の負担能力に応じて減額されることもあります。

第19条の8(政令への委任)

更生医療に関する詳細な事項は、政令で定められます。

第20条(補装具)

市町村は、身体障害者が必要とする盲人安全つえ、補聴器、義肢、装具、車いすなどの補装具を提供し、修理し、またはその購入や修理に必要な費用を支給することができます。

第21条(受託報酬)

前述の補装具の提供や修理を請け負った業者は、その報酬を市町村に請求できます。報酬の基準は厚生労働大臣が定めます。

第6節 社会参加の促進等

第21条の4(社会参加を促進する事業の実施)

この法律では、地方自治体が視覚障害者や聴覚障害者の社会参加を促進するためのさまざまなプログラムを実施することが義務付けられています。

これには、意思疎通を支援するためのプログラム、盲導犬や介助犬、聴導犬の使用をサポートするプログラム、身体障害者がスポーツ活動に参加するためのプログラムなどが含まれます。この法律は、身体障害者が社会的、経済的、文化的な活動に積極的に参加できるよう支援することを目的としています。

第22条(売店の設置)

この法律では、公共の施設を管理する組織が、身体障害者からの要望があれば、その施設内に売店を設置することを許可することが求められています。

また、売店を設置する場合、管理者は売店の運営に関するルールを設定し、運営を監視する責任を負います。身体障害者が売店で働く場合、病気などの正当な理由がない限り、自分で業務を遂行しなければなりません。

第23条

この法律では、市町村は売店の設置と運営を円滑に進めるために、地域内の公共施設の管理者と協力し、売店の設置場所や販売商品などについて調査し、その結果を身体障害者に提供する責任があります。これにより、身体障害者が売店を適切に設置し、運営するのに役立ちます。

第24条(たばこ小売業の許可)

身体障害者がたばこの小売業許可を申請した場合、その要件を満たしている場合、財務大臣は許可を与える責任があります。同様に、たばこ事業法に基づく許可を受けた身体障害者にも、一定の規則が適用されます。

第25条(製品の購買)

この法律では、社会福祉法人が身体障害者が製造した商品を国や地方自治体の公共施設に販売できるようになります。公共施設は、適切な価格で、一定期間内にこれらの商品を購入しなければなりません。ただし、必要な数量を購入できない場合を除きます。

第25条の2(芸能、出版物等の推薦等)

社会保障審議会は、身体障害者の福祉を向上させるため、芸能、出版物などの文化活動における推薦や製作、公演、販売に関する勧告を行うことができます。これにより、身体障害者の芸術や文化への参加が促進されます。

第3章 事業及び施設

第26条(事業の開始等)

この条文は、身体障害者の支援に関わる事業を始めるための手続きについて述べています。国や都道府県以外の組織は、厚生労働省の規定に従い、都道府県知事に対して身体障害者居宅生活支援、相談支援、生活訓練、介助犬訓練、聴導犬訓練の事業を行う意向を事前に届け出る必要があります。また、事業内容に変更がある場合も、変更を知らせる義務があります。

第26条の2

この条文は、手話通訳事業に関するものです。国や都道府県以外の組織は、社会福祉法の規定に従って手話通訳事業を行うことができます。

第26条の3(秘密保持義務)

この条文は、身体障害者相談支援事業に従事する職員に対する秘密保持の義務について述べています。職員は、個人の秘密情報を守る責任があります。

第27条(施設の設置等)

この条文では、身体障害者更生援護施設に関する規定が含まれています。国、都道府県、市町村、社会福祉法人などが、身体障害者の更生援護施設を設置できる条件や手続きについて述べられています。また、施設の基準や設備についても規定されています。

第28条(施設の基準)

この条文は、身体障害者更生援護施設および養成施設の基準について言及しています。厚生労働大臣は、これらの施設の設備や運営に関する基準を定めなければなりません。

第28条の2(措置の受託義務)

この条文は、身体障害者居宅生活支援事業や身体障害者更生援護施設の運営者が委託を受けた場合、正当な理由がない限り、その委託を受ける義務について述べています。

第29条(身体障害者更生施設)

この条文は、身体障害者の更生に必要な治療、指導、訓練を行う施設である「身体障害者更生施設」について述べています。

第30条(身体障害者療護施設)

この条文は、常時の介護を必要とする身体障害者を収容し、治療や養護を提供する「身体障害者療護施設」に関する規定です。

第30条の2(身体障害者福祉ホーム)

この条文は、日常生活に支障のある身体障害者が低額な料金で居住し、生活の便宜を提供する「身体障害者福祉ホーム」について説明しています。

第31条(身体障害者授産施設)

この条文は、身体障害者が訓練を受け、職業を学び、自立するために入所する施設である「身体障害者授産施設」に関する規定です。

第31条の2(身体障害者福祉センター)

この条文は、身体障害者に対する相談や訓練、レクリエーションなどのサービスを提供する「身体障害者福祉センター」について述べています。

第32条(補装具製作施設)

この条文は、補装具の製作や修理を行う施設である「補装具製作施設」に関する規定です。

第33条(盲導犬訓練施設)

この条文は、盲導犬の訓練を行い、視覚障害者に提供する訓練を行う施設である「盲導犬訓練施設」について述べています。

第34条(視聴覚障害者情報提供施設)

この条文は、点字刊行物や視聴覚障害者向けの情報を提供し、点訳や手話通訳の訓練を行う施設である

第4章 費用

35条(市町村の支弁)

この条文は、市町村が身体障害者の更生援護に関連する特定の費用を負担することを規定しています。この支弁には以下の費用が含まれます。

  1. 身体障害者福祉司の設置および運営に要する費用。
  2. 市町村が行う特定の行政措置に要する費用。
  3. 居宅生活支援費や特例居宅生活支援費、施設訓練等支援費の支給に要する費用。
  4. 指定医療機関への診療報酬支払いに関連する事務の委託に要する費用。
  5. 身体障害者更生援護施設と養成施設の設置および運営に要する費用。

このように、市町村は、身体障害者の更生援護に関するさまざまな支援プログラムや施設の運営に必要な費用を負担しなければならないことが明示されています。

第36条(都道府県の支弁)

この条文は、都道府県が身体障害者の更生援護に関連する特定の費用を負担することを規定しています。都道府県は、次の費用を支弁しなければなりません:

  1. 身体障害者福祉司の設置および運営に要する費用。
  2. 身体障害者更生相談所の設置および運営に要する費用。
  3. 委託に関連する費用。
  4. 都道府県知事が行う特定の行政措置に要する費用。
  5. 身体障害者更生援護施設と養成施設の設置および運営に要する費用。

都道府県も、身体障害者の更生援護に関連する様々な支援プログラムや施設の運営に必要な費用を負担する責任があります。

第36条の2(国の支弁)

この条文では、国が身体障害者の更生援護に関連する費用の一部を支弁することが規定されています。具体的には、国立施設に入所した身体障害者の入所後に発生する費用を国が支給します。

国が支給することで、身体障害者が国立施設で提供されるサービスや支援を受ける際の費用が一部補助されることになります。

第5章 雑則

第39条(報告の徴収等)

この条文は、身体障害者の福祉を支援するための規定です。具体的には、身体障害者居宅生活支援事業を行う組織や個人に対して、都道府県知事が必要な情報を提供させる権限を持っています。また、必要であれば関係者に質問し、施設を検査することもできます。

この規定の目的は、身体障害者の生活をサポートし、サービス提供者が法令に適切に従っていることを確保することです。このような権限は、社会福祉に関わる従事者や障害者を持つ家族にとって、身体障害者の生活の品質向上に貢献します。

第40条(事業の停止等)

この条文は、身体障害者居宅生活支援事業を提供する組織が法律や規則に違反した場合、あるいは不正な行為を行った場合に、都道府県知事がその事業を制限または停止させる権限を与えています。これは、身体障害者に対するサポートが適切に行われ、不正行為が防がれるようにするための規定です。

第41条

この条文は、身体障害者更生援護施設や養成施設が基準に適合しないか、法令に違反する場合、都道府県知事または厚生労働大臣がその事業を停止または廃止する権限を持つことを規定しています。これは、施設の運営が身体障害者の利益を保護し、法令を順守することを確保するための措置です。

また、この規定は、身体障害者支援施設が適切に運営されることを保証するため、文書による理由を示すことが求められることも規定しています。

第43条(町村の一部事務組合等)

この条文は、町村が福祉事務所を設置するために一部事務組合や広域連合を設立した場合、その組織を福祉事務所を設置する町村と同様に扱うことを規定しています。これにより、福祉サービスの提供と管理が効率的に行われることが期待されます。

第43条の2(大都市等の特例)

この規定は、都道府県が処理するべき事務が政令によって指定都市や中核市に移管される場合、それらの都市で対応できるようにする特例規定です。指定都市や中核市には、自らの領域内で特別な権限を与え、それに基づいて福祉サービスを提供することができます。

第43条の3(緊急時における厚生労働大臣の事務執行)

この規定は、緊急の場合において、都道府県知事の権限に関連する身体障害者の利益を保護するために、厚生労働大臣がその権限を行使できることを規定しています。特に、施設に入所する者の利益を守る必要がある場合、厚生労働大臣が都道府県知事の代わりに関連する処理を行うことができます。

この場合、関連する法律の規定は、厚生労働大臣に適用されます。そして、厚生労働大臣は、都道府県知事と緊密に連携して事務を執行するよう努力することが規定されています。

第43条の4(不正利得の徴収)

この規定は、居宅生活支援費や施設訓練等支援費を不正に受給した場合、それらの金額を徴収できる権限を市町村に与えています。また、指定居宅支援事業者等が不正行為によって支給を受けた場合、返還させる金額に40%の割増しを課すこともできます。これにより、不正な支給や不正な行為を防ぎ、公共の資金を守る仕組みが整えられています。

第43条の5(権限の委任)

この規定は、厚生労働大臣の権限を地方厚生局長に委任することができることを規定しています。地方厚生局長に委任された権限は、さらに地方厚生支局長に

委任することも可能です。このような委任は、地方レベルでの適切な施策の実行を助け、地域に合わせた福祉サービスの提供を促進します。

第44条(租税その他公課の非課税)

この規定は、この法律に基づく支給を受けた金品をもとに租税や公共の課税を行うことができないことを規定しています。これにより、受給者が支援金を受け取ったからといって、それが課税の対象になることは防がれます。

第45条(受給権等の保護)

この規定は、居宅生活支援費等を受ける権利を、他人に譲渡したり、担保に差し出したり、差し押さえられないことを規定しています。これにより、身体障害者や支援を受ける人々の権利が守られ、支援の安定性が確保されます。

第45条の2(実施命令)

この規定は、この法律の実施に関する細則や手続きなどを定めるために、厚生労働省令で詳細を規定できることを示しています。これにより、法律の実施が効果的かつ適切に行われるようになります。

第46条(罰則)

この規定は、この法律に違反した場合の罰則を規定しています。具体的には、特定の規定に違反した者に対して罰金が科せられます。これにより、法令を順守し、違反を抑制する効果が期待されます。

附則(施行期日)

第49条

この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。

この条文は、この法律がいつから適用されるかを指定しています。具体的には、この法律は昭和二十五年四月一日から施行されるとされています。この日から、法律の規定が効力を持ち、実施されることになります。

(更生援護の特例)

第50条

児童福祉法第六十三条の四の規定による通知に係る児童は、第九条から第十条まで、第十一条の二、第十七条の三、第十七条の十から第十七条の十五まで、第十七条の三十二、第十八条(第三項に限る。)、第十八条の二及び第三十五条から第三十八条までの規定の適用については、身体障害者とみなす。

この条文は、特定の法律に基づく通知に関連しています。通知を受ける児童が、身体障害者と同様に取り扱われることを規定しています。具体的には、身体障害者とみなされる場合、この法律の特定の規定が適用され、児童の福祉を支援するための措置が取られます。

別表(第四条、第十五条、第十六条関係)

この条文は、別表として視覚障害、聴覚障害、平衡機能の障害、音声機能や言語機能の障害、肢体不自由、心臓、じん臓、呼吸器の機能障害など、身体の障害や制約の程度を示すための情報が記載されていることを示しています。別表に記載された情報は、法律の適用範囲や補償対象に関連する障害の診断に利用されます。

附則〔抄〕(平成一四年一二月二〇日・法律第一九一号)

(施行期日)

第1条 この法律は、平成十五年十月一日から施行する。ただし、附則第十条から第二十六条までの規定は、同日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

この附則は、法律の施行日を指定しています。具体的には、この法律は平成十五年十月一日から施行されることが規定されています。ただし、附則の一部規定は、別の政令で指定される日から施行されることもあります。

まとめ

身体障害者福祉法の理解がより広まり、身体障害者の生活がより豊かになることを願って、このコラムをお届けしました。法律の条文は初めは難しく感じるかもしれませんが、その背後には社会的な公正と平等へのコミットメントが秘められています。身体障害者の権利と尊厳を守るために、この法律は不可欠です。

今後も、身体障害者福祉法や関連する法的規定についての理解を深め、身体障害者とその家族がより良い生活を築くための情報を提供してまいります。お付き合いいただき、ありがとうございました。何か質問や疑問点があれば、どうぞお気軽にお知らせください。身体障害者福祉法に関する知識を共に深めていきましょう。


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