超高齢社会である日本では高齢者の中でも認知症の方が増えているのが現状です。近年では振り込め詐欺など、判断能力の低下した方を狙った犯罪行為が増加しています。また犯罪行為とまでいかない場合でも、判断能力の低下に伴い必要のない高額商品を購入してしまうなど、財産の管理をすることが難しいという方も少なくありません。
このような場合、本人の財産を保護するための制度として成年後見制度があります。成年後見制度を利用するご家族にとって、成年後見人の報酬がいくらなのかは気になる部分です。このコラムでは、成年後見人の報酬についてわかりやすく説明します。
目次
報酬の目安
後見人の報酬は、おおむね月額2万~9万です。基本報酬額は、財産管理額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)に応じて、次の表のとおりです。
管理財産額 | 報酬金額 |
---|---|
10000万円以下 | 2万円 |
10000万円超50000万円以下 | 3万円から4万円 |
50000万円超 | 5万円から6万円 |
成年後見人等の後見業務において、身上監護等に特別困難な事情があった場合には上記基本報酬額の50%の範囲内で相当額の報酬を付加するものとします。また、成年後年人等が報酬付与申立事情説明書に記載されているような特別な行為をした場合には相当額の報酬を付加することがあります。成年後見人等が複数の場合には報酬額を分掌事務内容に応じて適宜の割合で細分します。
家族が後見人の場合も報酬をもらえます
家族が後見人の場合も報酬を受け取ることができます。その場合、上記の金額が目安となりますが。事案に応じて減額されることがあります。
成年後見監督人の報酬
家族が成年後見人に選出された場合で財産管理額が多い場合等は、弁護士や司法書士等の専門職の成年後見監督人が選任されることがあります。その場合、成年後見監督人も報酬を受けることができます。目安となる金額は財産管理額に応じて次の通りです。
管理財産額 | 報酬月額 |
---|---|
50000万円以下 | 1万円から2万円 |
50000万円以上 | 2万5千円から3万円 |
報酬基準の見直しについて
現状は上記の通り、管理財産額に応じた報酬体系になっています。しかし今後業務量や難易度に応じた報酬体系への変更が検討されています。
報酬の請求は、報酬付与の申し立て
成年後見人は、家庭裁判所に報酬付与の申立てを行いこれが認められた場合(通常は認められます)その審査において決定された金額の報酬を受け取ることができます。この申立てによって審判される報酬付与は、申立て日より前のものです。後見人は報酬付与をこまめに受け取ることも、被後見人の死亡等によって後見等が終了してからまとめて受け取ることができます。ただし、相続人に管理財産を引き継ぐ前に申し立てて報酬を受け取らなければなりません。
誰が報酬を支払うのか?
報酬は被後見人(後見を受ける人)の財産から受け取ることができます。
報酬が支払えない場合に助成を受け取れる方法とは
被後見人が生活保護受給者であるなど、資力が乏しく報酬が支払えない場合は、成年後見制度利用援助事業によって助成を受けることが可能な場合があります。
成年後見制度利用支援事業とは
認知症などにより、判断能力が不十分でかつ身寄りのない等、親族などによる後見等開始の審判の申立てができない人に対して、市町村長が変わって申立てを行ったり、成年後見制度を利用することに当たって費用を負担することが困難な人に対して自治体が審判の申立てに係る費用及び後見人等への報酬の助成を行う事業のことです。
成年後見制度利用支援事業について詳しい情報はこちらのコラム【成年後見制度利用援助事業での申請費用と後見人報酬の助成を受け取る方法】をご覧ください。
確定申告が必要になる場合
司法書士や弁護士が事業として後見報酬を受け取る場合は事業所得となります。また、家族等が後見人報酬を受け取る場合は雑所得になります。雑所得が年間20万円を超える場合には確定申告が必要です。1年一度は報酬を受け取ったが方が税務上有利になる場合が多いです。複数年分の報酬であっても、報酬の支払いを認める審査がなされた都市の所得はまとめて課税対象となるからです。
後見事務の実費は本人の財産から支出できます
成年後見人が後見事務等を行うために要した直接の費用(交通費、通信費、手続き等のための諸費用、手数料など)は本人財産から支出することができます。この費用は支出として記録し、他の報告書と共に家庭裁判所へ提出しなければなりません。
まとめ
弁護士や社会福祉士、司法書士等専門家が後見人となった場合の報酬は、ご家族が候補者に選んだ場合でも、家庭裁判所のリストから選任された場合でも違いはありません。各々の状況に合わせ制度の利用を検討しましょう。
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