「見守り契約」という名称ではないかもしれませんが、世の中にはあなたの安全や健康を見守る契約が存在します。特に一人暮らしの方によく利用されています。この契約により、あなたの健康状態や判断能力の低下などに気付いてもらうことが目的です。
目次
見守り契約とは
核家族化や少子高齢化などの影響で、一人暮らしの方が増えています。もし近くに家族や友人がいない場合、健康状態や判断能力の低下に誰も気づくことができません。
見守り契約は、定期的な電話連絡や自宅訪問を通じて、あなたの状態変化に気づいてもらうための契約です。
ただし、気づいてもらうだけでは意味がありません。その後の行動も重要です。例えば、健康状態が悪化し入院が必要な場合、遠くに住む家族に連絡してもらうなどの措置を決めておくことができます。自分で連絡することも考えられますが、入院時に連絡が取れる状態であるかは分かりません。
見守り契約は、本人だけでなく離れて暮らす家族が心配して結ぶ場合もあります。見守り契約を結ぶことで、日常生活の不安を軽減することができます。
見守り契約では何を決めるの?
見守り契約の内容は、法律で厳密に定められているものではありません。そのため、基本的には当事者が自由に内容を決めることができます。
一般的には、以下のような項目が見守り契約の内容として決められます。
見守り契約で決める内容とは |
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見守り方法 |
見守りの頻度 |
契約期間 |
費用 |
これらの項目は一般的な見守り契約の内容として考えられますが、具体的な契約内容は個々の状況や希望に合わせて調整されます。契約を結ぶ前に、契約内容を詳細に確認し、自身に適した契約を結ぶことが重要です。
見守り方法
見守り方法は主に電話連絡と訪問面談の組み合わせとなります。電話連絡を通じて面談の日程を確認することが一般的です。
見守りの頻度
訪問面談は自宅で行われるため、事務所によっては距離制限などがあるかもしれません。訪問面談は基本的に月に1回行われます。電話連絡と訪問面談の頻度は月1回を基準としています。連絡頻度が多くなると費用も増えるため、費用とのバランスも考慮されます。
契約期間
契約期間や終了時期も決めておきます。一年契約であり、問題がなければ自動的に更新される方法もあります。終了時のタイミングも明確に契約書に記載されます。入院や後見の開始によって契約が終了する場合も考慮されます。
費用
報酬の支払い日や支払い方法も取り決める必要があります。報酬だけでなく、訪問の交通費なども契約内容に含めることがあります。支払い日や支払い方法についても契約書に明示されます。
任意代理契約と一緒に契約することもできます
任意後見契約と見守り契約は密接に関連しており、任意後見契約の説明で見守り契約の存在を知る人も多いかもしれません。
任意後見契約は、あなたの判断能力が認知症などによって低下した場合に、あらかじめ後見人と契約を結び、その人に後見を依頼することです。
任意後見でできない部分を補う
任意後見契約には欠点もあります。例えば、誰も申立てをしない可能性があることです。実際には、あなたの判断能力が低下した後に他の人が申立てをする必要がありますが、一人暮らしで近くに家族がいない場合、判断能力の低下に気付きにくいですし、誰も申立てをすることはありません。
見守り契約を結ぶことで、判断能力の低下に気付いてもらいやすくなります。実際に任意後見を担当する人と見守り契約を結ぶケースもあります。見守り契約によって、あなたの状態に気付き、適切な対応が行われることが期待されます。
見守り契約で対応でいないこととは?
見守り契約には対応できない場合もあります。見守り契約の目的は、定期的な見守りを受けることです。しかし、以下の点については見守り契約では対応できません。
- 身の回りの世話
- 判断能力の低下後
- 死後事務の対応: 死後の手続きや遺産管理に関する事務は、見守り契約ではカバーされません。死後事務に対応するためには、別途死後事務委任契約を結んでおく必要があります。
身の回りの世話
買い物や部屋の片付けなどの日常生活の世話は、見守り契約ではカバーされません。別途、それを専門としたサービス契約が必要となります。
判断能力の低下後
本人の判断能力が低下した後は、見守り契約では対応できません。判断能力の低下が生じた場合は、別途適切な法的手続きが必要となります。
死後事務の対応
死後の手続きや遺産管理に関する事務は、見守り契約ではカバーされません。死後事務に対応するためには、別途死後事務委任契約を結んでおく必要があります。
見守り契約の範囲を超える事項については、適切な契約を別途結ぶことが重要です。
まとめ
見守り契約は、一人暮らしの方にとって日常生活の不安を軽減する有効な手段です。ただし、契約を結ぶ際には注意が必要ですので、事前に充分に確認しておくことが重要です。
見守り契約単体では、あなたの目的を完全に達成することは難しいと考えられます。なぜなら、見守り契約は主に見守りを提供する内容であり、気づいた後の具体的な対応はカバーされないためです。例えば、健康状態が悪化した場合でも、見守り契約だけでは身の回りの世話を頼むことはできません。最大限の効果を得るためには、他の契約との組み合わせが必要です。
多くの事務所では、見守り契約と他の契約をセットで受け付けていますので、詳細を確認してみることをおすすめします。複数の契約を結ぶことで、より包括的なサポートが実現できるでしょう。
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