障害年金とは-障害基礎年金の解説と申請手続き・受給条件・証明書類について

author:弁護士法人AURA(アウラ)
障害基礎年金についてと記載されたイラスト

障害年金とは何か

障害年金は、身体的・精神的な障害によって生活や仕事に著しい制限を受けている方が受け取ることができる年金制度です。以下に、障害年金について詳しく解説します。

制度の概要

障害年金は、障害を抱えた方が生活や仕事に著しい制限を受けた場合に受け取ることができる年金制度です。障害年金は、国民年金法や厚生年金保険法に基づいて運営されています。被保険者の方が障害を証明し、申請手続きを行うことで受け取ることができます。障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。

対象者

障害年金の対象者は次の通りです。

  • 身体的障害
  • 精神的障害
  • 知的障害
  • 発達障害
  • がん、糖尿病、心臓病など

上記のようにさまざまな疾患や障害が含まれます。障害の程度によって、障害基礎年金や障害厚生年金など、適用される年金種類が異なります。障害の程度を評価するために、専門の医師や医療委員会が診断を行います。ただし、障害の程度が軽微である場合や、障害が発生してから一定期間が経過していない場合には、年金の受給が認められない場合があります。詳しい対象者に関する情報は、厚生労働省のウェブサイトなどで確認することができます。

支給額

障害年金の支給額は、障害の程度や受給者の年齢、加入している保険種類によって異なります。

障害基礎年金の場合、3級、2級、1級に分かれており、障害の程度が重いほど支給額が増えます。

障害等級
1級993,750 円 (月額  82,812 円)+ 子の加算
2級 795,000 円 (月額  66,250 円)+ 子の加算
1級の年金額は、2級の1.25倍です。

子どもの加算

子どもがいる場合、18歳到達年度末(高校卒業時)までに子の加算が適用されます。子どもが障害等級1級または2級である場合、子の加算は18歳年度末から20歳まで延長して支給されます(子どもの障害等級は、障害年金と同じ基準で判断されます)。子どもが一定の年収基準(前年の年収が850万円未満など)を満たしていることが条件です。

なお、障害基礎年金受給中に子どもが生まれたり、18歳到達年度末に達した場合は、翌月から加算の有無や加算額が変更されます(子どもが生まれた場合は、市町村役場や年金事務所に届け出が必要です)。

子の人数金額
1人目、2人目の子ども 1人につき、228,700 円 (月額 19,058 円)
3人目以降の子ども
 1人につき、  76,200 円    (月額   6,350 円) 
※昭和31年4月1日以前に生まれた人も同じ金額です。

ただし、支給額は年度ごとに改定されるため、最新情報は厚生労働省のウェブサイトや担当窓口で確認する必要があります。一方、障害厚生年金の支給額は、加入している厚生年金保険料や加入年数、年金開始時期などによって異なります。厚生年金保険に加入している場合、基本的には支給額が大きくなる傾向にあります。ただし、障害厚生年金の支給額は、障害基礎年金と比べて低く、受給者の生活水準を維持することが難しい場合があります。

支給期間

原則として障害が治癒するまで支給されます。しかし、医師によって「障害が継続的にある」と認められた場合には、継続して支給されます。また、障害が一時的に改善した場合でも、一定期間内に再発した場合には、再度障害年金を受け取ることができます。ただし、支給期間には上限があり、障害基礎年金は75歳まで、障害厚生年金は65歳までの支給となります。

受給資格の条件など

障害年金を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 障害があることを証明する障害者手帳を取得していること
  • 医療証明書や診療情報提供書などの証明書類を提出すること
  • 被保険者であること(障害厚生年金の場合)
  • 障害によって働けなくなったことを証明すること(障害厚生年金の場合)

また、障害基礎年金の場合は、20歳以上であることが必要です。さらに、障害厚生年金の場合は、加入している厚生年金保険に一定期間加入していることが必要です。

障害基礎年金について

障害基礎年金は、身体的・精神的な障害によって生活や仕事に著しい制限を受けている方が受け取ることができる年金制度の一つです。障害の程度によって3級、2級、1級の3段階に分かれており、障害の程度が重いほど、支給される年金額が多くなります。

3級の障害

障害の程度が軽い方が該当する級であり、対象者の動作や行動に制限がある程度ある状態です。たとえば、歩行に制限がある場合や、手足の機能に障害がある場合などが該当します。

3級の障害は、身体的・精神的にある程度の障害がある状態を指します。具体的には、手足の動きに制限がある、病気やケガにより生活に制限がある、精神的な障害によって社会生活や労働に支障があるなど、様々な状態が該当します。ただし、生活自立が可能であるため、通常の社会生活や労働ができる場合があります。

障害認定基準としては、身体障害者補助具使用者や、障害者施設での自立訓練など、ある程度の支援が必要な状態が条件とされています。また、障害者手帳の交付基準としても、障害があることを病院や医師などが証明し、日常生活において一定の援助が必要であることが求められます。

3級の障害者には、障害基礎年金が支給されます。支給額は、年金保険料の納付期間によって異なりますが、平成27年4月以降に障害が発生した場合は月額14,600円(2023年5月現在)です。ただし、受給者が60歳以上である場合には、支給額が引き上げられる場合があります。

2級の障害

障害の程度が中程度の方が該当する級であり、自立した生活が困難である状態です。たとえば、車いすを利用しての移動が必要な場合や、日常生活において支援を必要とする場合などが該当します。

2級の障害は、障害の程度が軽い3級よりも重度であり、自立した生活が難しい状態にある人が該当します。身体的な制限や精神的な問題がある場合があります。たとえば、重い疾患によって長期間の入院や手術が必要な場合、身体的な機能に大きな制限がある場合、精神疾患によって社会生活に支障がある場合などがあります。

2級の障害者は、自宅での生活や外出に支援が必要な場合があり、介護や福祉サービスを受ける必要がある場合があります。また、就労にも制限がある場合があり、障害に応じて、雇用保険の障害者雇用促進制度や労働局の就労支援制度などを利用することができます。障害者自立支援法に基づく就労支援制度や障害者総合支援法に基づく福祉サービスなど、様々な支援が存在しています。

1級の障害

障害の程度が最も重い方が該当する級であり、生命や身体に重大な障害を持っている状態です。たとえば、寝たきり状態や、全身の動作や行動に重大な制限がある場合などが該当します。

1級の障害は、身体的・精神的に重度の障害を抱え、生活や仕事に著しい制限を受けている方が該当する級です。具体的には、身体の機能に重度の障害がある場合や、病気や障害により自立生活が困難な状態が続いている場合、重い精神疾患を患っている場合などが挙げられます。1級の障害を持つ方は、常に介助者や医療従事者の支援が必要となる場合が多く、日常生活や社会生活において著しい制限があることが特徴です。障害の程度が1級である場合は、障害者自立支援法に基づく各種の支援制度も利用することができます。

受給額の相違

障害基礎年金の受給額は、障害の程度によって異なります。3級の場合は、月額支給額が約1万円程度から、1級の場合は、月額支給額が約21万円以上になります。ただし、具体的な受給額は、厚生労働省が定めた支給表に基づいて計算されます。

また、障害基礎年金の受給額には、配偶者控除や子ども控除、障害者控除などが適用される場合があります。これらの控除を受けることで、受給額が減少する場合もあります。

障害基礎年金の受給額は、級別と配偶者の有無、および扶養家族の有無によって異なります。3級の場合は、2023年度の月額支給額は約1万1,700円から、1級の場合は、月額支給額が約21万7,700円になります。受給額は、毎年4月に改定されます。

ただし、配偶者の有無や扶養家族の有無によって支給額が変わるため、実際の受給額は個人によって異なります。例えば、同居する配偶者がいる場合には、配偶者控除が適用されるため、受給額が減少します。また、扶養家族がいる場合には、子ども控除や障害者控除が適用されるため、受給額が増減することがあります。

受給額については、厚生労働省が定めた支給表に基づいて計算されます。支給表には、障害級別ごとに基準となる受給額が記載されており、その上で配偶者や扶養家族の有無によって受給額が変わります。

障害基礎年金を受給するための手続きと申請書類

障害基礎年金を受け取るためには、以下の手続きが必要です。

  1. 障害者手帳の取得 障害者手帳を取得するためには、医師の診断書が必要です。診断書には、障害の程度や症状、治療方法などが記載されている必要があります。
  2. 医療証明書や診療情報提供書の取得 障害基礎年金の申請には、医療証明書や診療情報提供書などの書類が必要です。これらの書類は、治療を行っている医師から取得することができます。
  3. 年金手帳の申請 障害基礎年金を受け取るためには、年金手帳の申請が必要です。申請は、国民年金保険料納付票や納付猶予決定書、住民票などの身分証明書類とともに、国民年金保険事務所で行うことができます。

以上の手続きを行うことで、障害基礎年金の受給が可能になります。

障害年金の申請手続きについて

障害年金の申請手続きは以下の流れとなります。

手続きの流れ

  1. 障害者手帳の取得
  2. 医療機関の受診
  3. 必要書類の準備
  4. 申請書の提出

障害者手帳の取得

障害者手帳を取得することが必要です。手帳は市区町村の福祉課や保健所、厚生労働省の健康福祉局障害保健福祉部などで取得することができます。

医療機関の受診

申請に必要な書類には、障害者手帳、医療証明書、診療情報提供書、申請書などがあります。これらの書類を準備しましょう。

必要書類の準備

障害の程度を診断してもらうために、主治医や専門医に受診する必要があります。障害の程度に応じて必要な診断書類も異なります。

申請書類の準備

申請書は、国民年金保険事務所、厚生年金保険事務所、市区町村役場の年金課、特定障害者雇用促進事業事務所などに提出することができます。提出期限は、障害基礎年金の場合は原則として受給申請月の翌月末日までとなっています。

必要な書類

申請に必要な書類は以下の通りです。

  1. 障害者手帳
  2. 医療証明書
  3. 診療情報提供書
  4. 申請書

障害者手帳

障害者手帳のコピーまたは写し

医療証明書

医療機関で受診し、障害の程度を診断してもらった医師の診断書。必要に応じて、病名、病状、治療方法、治療期間、障害の程度などが記載された「医療証明書」が必要となります。

診療情報提供書

医療機関で受診し、診断書に必要事項を記載してもらった後、受診先医療機関から、障害年金請求人(被保険者)が指定した保険事務所に対して診療報酬等の請求が行われるための書類です。

申請書

申請書は、国民年金保険料納付状況証明書、口座振替申込書、収入申告書(所得によって必要な場合があります)、被保険者証(国民年金保険者の場合)なども必要に応じて提出する必要があります。

申請に必要な手続き等について

申請書類は、厚生労働省の【障害基礎年金お手続きガイド】から確認することができます。また、市区町村や年金事務所でも配布されている場合があります。必要書類の提出に加えて、医療証明書や診療情報提供書など、障害の程度を証明する書類も提出する必要があります。

申請書類や書類の提出先、申請方法は、住所地の市区町村役場や年金事務所によって異なる場合があります。申請に際しては、事前に相談することをおすすめします。

また、申請に必要な手続きとして、障害者福祉課や社会保険事務所などでの面接や、医師による健康状態の調査があります。面接や調査に関する詳細は、担当機関によって異なる場合があります。

障害の証明書類について


障害年金を受け取るためには、障害の程度を証明する書類が必要となります。代表的な証明書は以下の通りです。

医療証明書

医療機関で受診し、障害の程度を診断してもらった医師の診断書。必要に応じて、病名、病状、治療方法、治療期間、障害の程度などが記載された「医療証明書」が必要となります。

診療情報提供書

医療機関で受診し、診断書に必要事項を記載してもらった後、受診先医療機関から、障害年金請求人(被保険者)が指定した保険事務所に対して診療報酬等の請求が行われるための書類です。

障害者手帳

障害者手帳は、身体障害者、知的障害者、精神障害者など、あらゆる障害を持つ方が利用することができる、障害者の身分を証明する書類です。障害者手帳は、医師や専門医師による診断を受け、市区町村の障害福祉課に申請することで取得できます。

障害者総合支援法に基づく証明書

障害者総合支援法に基づく証明書は、身体障害者、知的障害者、精神障害者のうち、重度の障害を持つ方が対象となります。証明書を持っていると、障害者手帳と同じように様々な福祉制度を利用することができます。

障害基礎年金の認定後に必要となる書類について

【障害基礎年金の認定後に必要となる書類】 障害基礎年金を受給するためには、障害認定を受ける必要があります。障害認定を受けるためには、医療証明書や診療情報提供書などの書類を提出する必要があります。また、障害認定後には、支払いのための口座情報や年金手帳などが必要となります。

具体的には、以下の書類が必要となります。

  • 支払口座の通帳(記号・番号・名義人確認のため)
  • 年金手帳(本人確認のため)
  • 特定口座振替口座の場合は、口座情報(通帳コピー等)と振替予定日を申請書に記入して提出する必要があります
  • 源泉徴収票の交付申請書(本人確認のため)
  • 収入金額届出書(障害年金受給者本人、配偶者、扶養親族の年収が一定額以下の場合に提出する)

これらの書類は、障害認定後に厚生年金保険事務所から送付される「障害基礎年金認定決定通知書」に記載された提出期限までに提出する必要があります。提出期限を過ぎた場合は、受給が遅れたり、支払いが停止する可能性があるため、注意が必要です。

障害基礎年金の受給条件

障害基礎年金の受給条件は以下の通りです。

医療保険制度に加入していること

障害基礎年金を受け取るためには、国民年金や厚生年金などの医療保険制度に加入している必要があります。

国民年金や厚生年金、公務員共済組合や各種企業年金など、様々な医療保険制度がありますが、これらの保険に加入していることが、障害基礎年金を受け取るための条件の1つとなります。

例えば、国民年金に加入している場合、年金保険料を支払っている期間や年齢、被保険者の障害の程度によって、障害基礎年金が支給される場合があります。厚生年金保険に加入している場合も同様で、年金保険料の支払い期間や加入年数、年金開始時期などによって、受給額が決定されます。

また、公務員共済組合や各種企業年金に加入している場合にも、同様の条件が適用されます。このように、障害基礎年金を受け取るためには、適切な医療保険制度に加入していることが必要不可欠となります。

20歳以上であること

障害基礎年金を受け取るためには、20歳以上である必要があります。20歳未満の場合は、障害児福祉手当や障害者総合支援法に基づく給付を受けることができます。

障害基礎年金は、基本的に20歳以上である方が対象となっています。これは、20歳以上であれば一定の社会的・経済的責任を負うことができると判断されたためです。ただし、高等教育機関に在学している場合は、22歳までに限り受給することができます。

20歳未満の場合、障害児福祉手当が受給できます。障害児福祉手当は、障害を持つ0歳から19歳までの子どもや、学校教育法に基づく特別支援学校に在籍する者などが対象となり、障害児を養育する家庭に支給されます。また、障害者総合支援法に基づく給付もあります。これは、重度の障害を持つ方や、障害が原因で生活が困窮している方などに対して、生活や福祉の向上を図るために支給されます。

障害に該当すること

身体的、精神的な障害によって、生活や仕事に著しい制限を受けていることが必要です。障害には、病気やケガ、先天的なもの、後天的なものなどが該当します。

障害には様々な種類があり、病気やケガ、先天的なもの、後天的なもの、精神的なものなどがあります。病気の場合は、がんや糖尿病、心臓病、脳卒中などが代表的なもので、ケガの場合は交通事故や労働災害などがあります。先天的なものとしては、先天性心疾患や先天性肢体異常、先天性知的障害などがあります。後天的なものとしては、加齢による障害や脳梗塞、脊髄損傷、鬱病などがあります。精神的な障害には、うつ病や統合失調症、自閉症スペクトラム障害などがあります。これらの障害が、生活や仕事に著しい制限を与えるものである場合、障害基礎年金の受給資格が認められることになります。

障害が1年以上続いていること

障害が1年以上続いていることが条件となります。また、重度の障害については、短期間でも受給が可能です。

障害が1年以上続いていることが必要なのは、一時的なケガや病気によって生じた制限ではなく、継続的な障害があることが要件とされているためです。ただし、障害が重度である場合、短期間でも受給が可能となる場合があります。具体的には、1級障害に該当する場合や、障害が継続的にあると認められた場合には、短期間であっても受給が可能となります。ただし、詳細な受給期間は、障害の程度や状況によって異なるため、個別に確認する必要があります。

日本国内に住所を所有すること

日本国内に住所を有することが条件となります。海外に居住している場合は、障害基礎年金を受け取ることができません。

障害基礎年金の受給資格には、日本国内に住所を有することが必要とされています。具体的には、日本国内に住民票を有することが条件となります。ただし、一時的に海外に滞在する場合や、海外赴任中であっても、日本に居住する意思があることが認められる場合には、一定の条件を満たせば障害基礎年金を受け取ることができる場合があります。

ただし、海外での生活や治療によって生じた医療費や通訳費用などについては、基本的には自己負担となる場合があります。海外在住者が障害年金を受け取るためには、日本国内の障害基礎年金を受け取る手続きとは別に、外国の日本大使館や領事館、または日本国内の市役所などに申請する必要があります。

以上が障害基礎年金の受給条件です。申請の際には、必要な書類や手続きを確認し、正確かつ適切な申請を行うことが大切です。

まとめ

障害年金は、障害を抱えた方が生活や仕事に著しい制限を受けている場合に受け取ることができる年金制度です。障害基礎年金と障害厚生年金があり、障害の程度や加入している保険種類によって支給額が異なります。申請には医療証明書や診療情報提供書などの書類が必要で、受給条件には医療保険制度に加入していること、20歳以上であること、障害に該当すること、障害が1年以上続いていること、日本国内に住所を有することなどがあります。また、必要な書類や手続きについては、専門家である弁護士や社会保険労務士に相談やアドバイスを受けることもおすすめします。


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