相続に関わりたくない場合
相続人ではあっても相続に関わりたくない理由があります。
・債務の承継を避けたい。
・相続人自身の債権者に,承継した財産を差し押さえられることを避けたい。
・心情的に相続に関わりたくない。
※住宅ローンを承継したくないので相続放棄をしたいと考える方がいるかもしれませんが,一般的な住宅ローンでは,団体信用生命保険(団信)への加入が義務づけられており,生命保険で完済となる場合が多いので,相続放棄の判断の前に,金融機関に確認すると良いでしょう。
手続
(熟慮期間の伸長の申立)https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html
熟慮期間の起算点の繰り下げ
特殊な事情がある場合は,熟慮期間がまだ進んでいないと判断して,救済的に相続放棄や限定承認の申述を認めることもあります。
詳細は,相続放棄の熟慮期間の起算点
家庭裁判所の申述と審判手続
相続放棄の申述を認める(受理する)審判があっても,相続放棄の効果が確定するわけではありません。このようなことから,裁判所は,相続放棄の要件について,とても粗い審査しかしません。最小限の証拠だけがあれば相続放棄の申述を認める(受理する)のです。
裁判所の審理の結果,相続放棄の申述を受理する審判となったときの法的効果は少し複雑です。
後から別の裁判で改めて審査・判断することが想定されているからです。
相続放棄の申述受理の審判について既判力は生じません。
後日の民事訴訟における相続放棄の有効性の判断を拘束しません。
相続放棄の申述を受理する審判がなされたとしても,相続放棄が実体要件を備えていることが確定されるものではなく,相続放棄の有効性について別の民事訴訟で審理・判断することができます。
そこで,審理の内容や程度はある程度粗くても(低くても)よいと解釈されているのです(明白性基準)。
相続開始前の相続放棄
被相続人の生前から,相続放棄の申述書に署名押印していたとしても,このような意思表示は無効です。
相続放棄の効果
相続放棄の効果は,遺留分や特別受益との関係,税務上の扱いなど複雑です。
似ている手続もいくつかあります。
詳細は,相続放棄の効果
相続分の放棄
「相続分の放棄」という手続があります。「相続放棄」と似ていますが,全く異なるものです。
詳細は,相続分の放棄
共有持分の放棄
相続放棄や相続分の放棄とは別の手段として,遺産の中の特定の財産について共有持分の放棄をすることも可能です。どのような状況で使えるのか,また,この手段を用いた場合にどのような効果が生じるのかの問題があります。
詳細は,共有持分の譲渡・放棄
その他、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。