相続預金の取引履歴調査
相続に関して被相続人の預金の取引履歴を調査することがあります。
〈典型例〉(親族による使い込み)
父Aが長男Bと同居していた。
Aは自身の預金の通帳・印鑑・カードをBに預けていた。
Bは日頃からAに無断で預金を引き出していた。
Aはほとんど自己のために資金を使っていた。
Aが亡くなった。
次男Cは,Bによる使い込みを疑っていたが,証拠を持っていなかった。
Cは,銀行から預金の取引履歴を取得したい。
預金者自身による取引履歴の開示請求
預金契約には取引履歴・経過の開示義務が含まれているので,預金者が金融機関に取引履歴・経過の開示を請求した場合,金融機関は,口座の取引履歴を開示する義務があります。
相続人による被相続人の預金取引履歴開示請求
相続人がいる場合,預金契約上の預金者の地位は共同相続人全員に帰属し,預金債権は預金者が死亡し,複数の準共有となる。
共同相続人は,準共有の「保存」行為(民法264条,252条)に該当するので,各相続人は単独で,銀行に対し取引履歴の開示請求をすることができます。
解約済の相続預金
〈典型例〉
父Aが長男Bと同居していた。
父Aの生前に,長男Bは,Aから預金解約の委任状(Aが署名押印していた。)を預かっていた。
Aの印鑑登録カードもBが預かっていた。
Aが危篤に陥った。
Bは,預金を解約し払戻を受けた。
Aが死亡した。
Cは,銀行から預金の取引履歴を取得したい。
〈裁判例の対立〉
東京地裁平成22年9月16日判決→肯定
東京高裁平成23年8月3日判決→否定
信用情報
被相続人の債務の調査方法については,下記サイトをご覧ください。https://011330.jp/guide/cic-jicc-ksc.html
その他、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。