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暦年贈与の基礎控除
『贈与』として認定されるとしても,別の問題があります。
複数回の『贈与』となるか,『一括での贈与』となるか,という問題です。
前提として,贈与税の『非課税』のルールが関係します。
<暦年贈与の基礎控除>
年間110万円
・1月1日〜12月31日(暦年)
・受贈額(合計)に対して110万円
※相続税法21条の5,租税特別措置法70条の2の3
こよみの1年で合計110万円は贈与でもらっても非課税,ということになります。
暦年贈与による相続税対策
暦年贈与の基礎控除を活用して,次のような節税策が可能となります。
<暦年贈与による相続税対策>
親子間で,毎年110万円相当の財産を贈与(承継)する
→将来の相続税を軽減・回避できる
暦年贈与が連年贈与と認定されるリスク
暦年贈与には,一定のリスクがあります。
<暦年贈与ではなく『連年贈与』と認定されるリスク>
あ 事例
毎年110万円×10年間を親が子に支払った
い 税務署の認定
最初の年に『1100万円の贈与』が行われた
支払いは『分割払い』となった
→贈与額は110万円(基礎控除内)ではなく,1100万円である
→贈与税437万5000円の納税義務が生じる
う 『連年贈与』認定のポイント
『将来の支払いまで一括して約束した』かどうか
この点,税理士によっては,『連年贈与』と認定されるリスクを過大に捉える傾向があります。
しかし,最近は最高裁判例でも『租税回避目的』自体は肯定的に捉えられています。
法解釈・事実認定としては,『一括での約束』と認定する方がハードルが高いと思われます。
一定の注意を払っておけば,『暦年贈与の節税』は問題ないでしょう。
連年贈与という認定を避ける工夫
<『暦年贈与』が『連年贈与』と認定されることを避ける方法>
あ 贈与契約書
贈与ごと(毎年)に贈与契約書を調印して保管しておきます。
い 贈与税申告
基礎控除額を多少超過した場合,贈与税申告+納税をしっかりと行ないます。
意図的にわずかに超過させて申告+納税を行えば,記録化ができます。
ただし,そこまでケアするのは過剰気味でしょう。
う 『翌年の贈与』を強制しない
→例;親子の仲が悪くなったら贈与をしなくなる,という一定の緊張感を維持する
毎年の贈与は,個々に『任意・自発的』に行なう,という意味です。
過去の贈与の贈与税→課税権の期間制限
暦年贈与は,長年に渡り,贈与が連続することになります。
『過去の贈与について贈与税申告が必要なのにしていなかった』ということが生じることがあります。
この点,課税については,一定の期間制限・時効があります。
要するに,『税の徴収を逃してしまう』ということが生じるのです。
だからこそ,税務署は『税金逃れ追認した』ことにならないように,相続財産扱いするモチベーションが生じます。
いずれにしても 税金や相続紛争対策は,事前にしっかりと計画を立てるところが非常に重要です。
その他、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。