養育費の相場はどれくらい?

author:弁護士法人AURA(アウラ)

目次

序章:

養育費の相場について考えることは、多くの親や家庭にとって重要なテーマです。子供の養育費は、親の離婚や別居、共同親権などの状況に応じて変動することがあります。養育費の相場を理解し、公平な支払いを確保することは、子供の幸福と家庭の安定に寄与することができます。このコラムでは、養育費の基本的な概念から、相場を決定する要因、そして留意すべき法的側面について詳しく探っていきましょう。

はじめに

養育費を元夫と取り決めたのに、取り決め通り支払ってくれない、取り決めないまま離婚を決めてしまった…元夫から養育費をもらえず、苦しい生活を強いられていませんか。子供達にはお金の心配をさせたくない、その一心から、懸命に働き、子供達にの前では笑顔、心身ともに、疲弊がピークではないでしょうか。お辛いですよね。

子供たちにかかるお金は年を追うごとに増えていきます。このまま養育費を支払ってもらえないと、あなたが昼夜働くだけでなく、子供たちにも、進学、夢をあきらめてもらうという選択をしなければならないかもしれません。あなたが心身を病み、子供も遠慮し、将来に悲観してしまうかもしれません。どうして私の家は、ほかの家と違うの、と。

私たちAURAに相談してみませんか。

明日がわからないままひたすら走り続ける毎日から、少し、光が見えてくるかもしれません。

子供たちにも、少しずつ、笑顔が増えてくるかもしれません。

私自身、セクハラやパワハラ、いじめに悩んでいた時、誰にも相談できずにいました。明日を変える怖さもありました。このまま、慣れてしまえばいいんだと。

もしあのとき、誰かに一言でも相談できていたのなら。もっと早く未来は変わっていたかもしれません。

人生は長いようで短い。あなたには、私と同じ思いは、してほしくないのです。

つらい状況から、光のさす、あたたかな方へ進んでみませんか。人生そんなに悪くないと、思えるかもしれません。

養育費について、取り決めの通り払ってもらえるか、取り決めがない場合も払ってもらえるか、過去の分は請求できるのか、皆様の事情に応じた様々な悩みがあると思います。

まずは、お話を伺うことから。少しお気持ちが軽くなるのを感じるでしょう。

そして、事情をよくお伺いし、今後の方針を立てていきましょう。弁護士名義での通知書送付、交渉、調停等さまざまなヴァリエーションから、あなたに最適の方法を選んでいきましょう。少しずつ、確実に、毎日はよくなっていきます。あなたは、子供たちのために、今この瞬間も、頑張っているのですから。

このままでいますか、それとも、私たちAURAに相談して、新しい生活を迎えますか。

ぜひ、私たちAURAに、ご相談ください。

「自分自身を認めるのです。

 自分は頑張っている、自分の頑張りを、誇れる、と。」     レディ・ガガ

1. 養育費とは? 

養育費は、離婚や別居に伴って子供を育てるために必要な費用をいいます。この費用を支払うのが「非監護親」で、受け取るのが「監護親」と呼ばれます。非監護親は子供に対する責任を負い、子供の生活水準を維持するために養育費を支払う義務があります。

養育費の金額は、子供の年齢、数、親の収入などに基づいて計算されます。一般的に、子供が成長するにつれて費用が増えることを考慮し、双方の親の収入に応じて決められます。そのため、収入が異なる親同士では、金額が異なることがあります。

養育費は一括で支払うこともできますが、通常は月々の支払いが行われ、ボーナス時に一時金として支払われることもあります。これにより、変化する生活状況に柔軟に対応できます。

また、未婚の場合でも養育費を請求できることがあります。父親が認知をしている場合や、認知していない場合でも養育費を支払う旨の公正証書を作成している場合、養育費を請求することができます。

養育費は子供のために必要な費用であり、子供の健康や幸福を確保するための重要な要素です。養育費に関する問題が生じた場合、法的な専門家に相談することが大切です。子供の福祉を最優先に考え、公平で適切な養育費を決定することが大切です。

2. 養育費の相場はどのぐらい? 

養育費の金額は、親の収入や子供の数に応じて異なります。一般的に、養育費は母子家庭と父子家庭では異なる傾向があります。厚生労働省の調査によれば、令和4年度の平均相場は、母子家庭では月に約5万485円、父子家庭では約2万6,992円でした。

また、子供の数によっても養育費の金額が変わります。例えば、母子家庭で子供が1人の場合、月に約4万468円が平均相場です。しかし、子供が2人いる場合は月に約5万7,954円が平均相場とされています。

重要なのは、子供の数が増えれば必ずしも単純に金額が倍になるわけではないことです。養育費の計算は親の収入や子供のニーズを考慮し、公平な額を決定するために行われます。そのため、具体的な金額は個々のケースに依存します。

また、養育費を受け取るためには、離婚手続きや調停が必要であり、必ずしも確実に受け取れるわけではありません。養育費の支払いに関する問題が生じた場合、法的な助言や専門家の協力を得ることが大切です。

要するに、養育費の相場は一般的な目安を示すものであり、具体的なケースによって異なることを理解しておくことが重要です。子供の幸福を最優先に考え、公平な養育費を確保するために、専門家のアドバイスを受けることがおすすめです。

3. 養育費の算定方法 

養育費の算定方法は、複雑な要素を考慮しながら具体的な金額を決定するのは難しいため、実務においては「養育費算定表」を活用します。この表は、裁判所や日本弁護士連合会が作成したものがあります。

養育費算定表は、次のような要素に基づいて、養育費の金額を簡易に把握するためのツールです。

(1)子供の数と年齢

子供の数と年齢によって、養育費の金額が変動します。子供が1人の場合や2人以上の場合、年齢によって異なる表を選びます。

(2)種類ごとの年収区分

年収は、給与収入と自営業収入に分かれています。従業員の場合は給与欄、自営業者の場合は自営業欄を確認します。

子供の数と年齢によって、養育費の金額が変動します。子供が1人の場合や2人以上の場合、年齢によって異なる表を選びます。

①義務者と権利者の年収

表は、義務者(養育費を支払う親)と権利者(養育費を受け取る親)の年収に基づいています。義務者の年収と権利者の年収が交わる点に、養育費の目安金額が記載されています。

②種類ごとの年収区分

年収は、給与収入と自営業収入に分かれています。従業員の場合は給与欄、自営業者の場合は自営業欄を確認します。

算定表を利用する際には、自身の状況に合った表を選び、義務者と権利者の年収を該当箇所で交わします。そこで交わる金額が、養育費の目安金額となります。

ただし、養育費算定表は一般的な費用を元に算出されており、特別な事情や子供の個別ニーズを考慮していません。子供の進学や趣味活動、医療費など、具体的な費用が必要な場合は、算定表の金額を基準にしつつ、個別の取り決めを行うことが重要です。

養育費について話し合いで合意が得られない場合、法的な専門家に相談し、公平な養育費を決定する手助けを受けることが賢明です。子供の幸福を最優先に考え、養育費を適切に決めるための努力が大切です。

4. 子供の人数別養育費相場

(1) 子供の人数が1人の場合

 子供の人数が1人の場合の養育費の相場は、一般的に月額で約5万円から6万円程度と言われています。

ただし、具体的な金額は地域や個々の事情によって異なることがあります。養育費は親の収入や子供の年齢にも影響されるため、正確な金額は養育費算定表や裁判所の判断に基づいて決まります。離婚手続き中に、養育費の金額について協議し、合意を得るか、裁判所に判断を仰ぐことが一般的です。 

(2) 子供の人数が2人の場合 

 子供が2人の場合の養育費の相場は、一般的に月額で約10万円から12万円程度と言われています。

ただし、具体的な金額は地域や個々の事情によって異なります。養育費は親の収入や子供の年齢にも影響されるため、正確な金額は養育費算定表や裁判所の判断に基づいて決まります。離婚手続き中に、養育費の金額について協議し、合意を得るか、裁判所に判断を仰ぐことが一般的です。 

(3) 子供の人数が3人の場合

子供が3人の場合の養育費の相場は、個別のケースに依存しますが、一般的な目安として考えると、月額で約2万円から6万円以上の範囲内であることが多いです。具体的な金額は以下の要因に影響されます。

①親の収入

養育費は主に親の収入に基づいて計算されます。親の年収が高いほど、養育費の金額も高くなります。

②子供の年齢

子供の年齢によって、必要な支援や費用が異なります。幼い子供は保育園や幼稚園の費用がかかりますし、高校生以上になると教育費が増加することがあります。

③特別なニーズ

子供に特別なニーズや医療的な支援が必要な場合、それにかかる費用も考慮されます。

④地域差

地域によって生活費や教育費の差があり、それが養育費の金額に影響を与えることがあります。

養育費の具体的な金額を知りたい場合、裁判所の養育費算定表を参考にすることができます。この表は、親の年収と子供の数や年齢に基づいて金額を算出するための参考資料です。ただし、最終的な養育費の金額は、親同士の合意や裁判所の判断によって決まります。そのため、具体的なケースに合わせて専門家の助言を受けることが重要です。

5.夫の年収が平均的な場合の養育費の相場 

夫の年収が平均的な場合、養育費の相場は一般的に以下のようになります。ただし、具体的な金額は地域や子供の年齢、その他の事情によって異なることがあります。 

  • 年収200万円の場合: 約月額5万円から6万円程度 
  • 年収300万円の場合: 約月額7万円から8万円程度 
  • 年収400万円の場合: 約月額9万円から10万円程度 
  • 年収500万円の場合: 約月額11万円から12万円程度 

これらの金額は一般的な目安であり、正確な養育費の金額は養育費算定表や裁判所の判断に基づいて決まります。離婚手続き中に、具体的な収入や子供の年齢を考慮し、養育費について協議し、合意を得るか、裁判所に判断を仰ぐことが一般的です。 

6.夫の収入の調べ方

(1) 夫がサラリーマンの場合 

夫がサラリーマンである場合、収入を調べるためには以下の方法が一般的に使用されます。 

給与明細書の確認

多くのサラリーマンは給与明細書を毎月受け取ります。この明細書には基本給、手当、控除額、支給額などが記載されています。まず、夫の給与明細書を確認し、月収を把握します。 

源泉徴収票(年末調整票)の利用

年末調整の際に発行される源泉徴収票には、年間の収入や所得税、社会保険料などが記載されています。これを元に、年間の総収入を把握できます。 

銀行取引明細の調査:

夫の銀行口座の取引明細を調査することで、給与振込やその他の収入、支出がわかります。収入や支出が定期的に記録されていることが多いです。 

雇用契約書の確認

雇用契約書には、基本給や手当の詳細、勤務時間、雇用条件などが記載されています。契約書を確認することで、給与に関する情報を入手できます。 

経理部門や人事部門への問い合わせ

夫が働いている会社の経理部門や人事部門に連絡を取り、給与に関する情報を提供してもらうことも可能です。ただし、プライバシーの問題や会社のポリシーに従う必要があります。 

これらの方法を組み合わせて、夫の収入を正確に把握することができます。特に離婚手続きや養育費の計算において、正確な収入情報は重要です。 

(2) 夫が自営業の場合

 

夫が自営業者である場合、収入を調べるためには以下の方法が役立つでしょう。自営業者の収入情報は、いくつかの方法を組み合わせて収集することが一般的です。 

確定申告書の確認:

自営業者は年に1回、確定申告書を提出します。この申告書には収入、経費、利益などの詳細が記載されています。夫の確定申告書を確認し、年間の収入と経費を把握します。この情報は税務署で提供されているため、税務署に問い合わせることもできます。 

銀行取引明細の調査:

夫の銀行口座の取引明細を調査します。自営業者の場合、収入が銀行口座に振り込まれることが多いです。収入の振込情報や支出の記録をチェックし、収入を把握します。 

契約書や請求書の確認

夫が取引先と契約書や請求書を交わしている場合、これらの文書から収入情報を収集できます。取引先やクライアントからの支払いに関する情報を含んでいることがあります。 

ビジネス関連の書類の閲覧

夫の事業に関連する書類や記録を閲覧し、収入情報を特定します。これには事業計画書、会計帳簿、収支計算書、経費明細などが含まれます。 

税理士や会計士の協力

夫が税理士や会計士を利用している場合、これらの専門家に連絡を取り、収入に関する情報を提供してもらうことができます。税理士や会計士は、税務関連の書類を管理していることが多いです。 

自営業者の収入情報は複雑であり、正確な情報を得るためには複数の情報源を組み合わせて調査することが必要です。また、法的なアドバイスを受けることも重要です。離婚手続きや養育費の計算において、正確な収入情報は非常に重要です。 

7.養育費が相場より高くなる場合  

養育費が相場より高くなる場合は、以下のような状況が考えられます。ただし、具体的な養育費の金額は地域や裁判所の判断に依存するため、個々のケースによって異なります。 

子供の特別なニーズや医療費

子供が特別なニーズを持っていたり、医療費が高額にかかる場合、これらの費用をカバーするために養育費が相場より高く設定されることがあります。子供の健康状態や教育ニーズに応じて養育費が調整されることがあります。 

学業や習い事の費用

子供が塾や習い事に取り組む場合、その費用をカバーするために養育費が増額されることがあります。例えば、私立学校に通っている場合や特定のスポーツや芸術活動に取り組んでいる場合などが考えられます。 

親権を持つ親の経済的困難さ

親権を持つ親(養育者)が経済的に困難な状況にある場合、養育費が相場より高く設定されることがあります。この場合、子供の生活費や教育費をしっかりとカバーするために、養育費が増額されることが考えられます。 

収入格差

夫妻間の収入格差が大きい場合、収入の多い方が収入の少ない方に養育費を支払うことになります。収入格差が大きい場合、養育費が相場より高くなる可能性が高いです。 

裁判所の判断

最終的には裁判所が養育費の金額を決定します。裁判所は子供の最善の利益を考慮し、公平な判断を下すよう努めます。そのため、裁判所の判断に基づいて養育費が設定され、相場より高くなることがあります。 

養育費の金額はケースバイケースで異なりますが、子供の福祉と健全な育成を最優先に考える原則に基づいて設定されます。必要な場合、離婚手続きや裁判所の判断を通じて、適切な養育費が確保されるようになります。 

8.養育費が支払われる期間

3人の子供たちが、養育費の支払い期間について、訪ねている絵
living-native

養育費の支払い期間は一般的に次のようになりますが、個々の事情によって異なることがあります。 

(1)子供の成人

養育費の支払い期間は、子供が成人に達するまでです。法的には成人年齢は18歳とされていますが、家庭裁判所の現時点における運用では、養育費は20歳までとされています。20歳を超した場合の、大学や大学院の学費等については、個々に協議して決せられますが、多くの場合は、「大学卒業時まで」とされています。

(2)特別なニーズ

子供が身体的な特別なニーズや障害を持っている場合、養育費の支払い期間が通常よりも長くなることがあります。子供の特別なケアやサポートが必要な場合、支払いが続くことがあります。 

(3)合意または裁判所の判断

養育費の支払い期間は、夫妻間の合意や裁判所の判断によっても変わることがあります。離婚合意書や裁判所の判決に従って支払い期間が決まります。 

養育費の支払い期間は個別のケースに依存し、法的な規定や合意に従って決まります。養育費の支払いが終了するタイミングについては、離婚手続きの際に合意を取り決めるか、裁判所の判断を仰ぐことが一般的です。したがって、具体的なケースに関する法的アドバイスを受けることが重要です。 

9.離婚後に元夫の年収が変動した場合

離婚後に元夫の年収が変動した場合、養育費は以下のように影響を受ける可能性があります。 

(1)年収が上昇した場合

元夫の年収が上昇した場合、養育費の金額が見直され、増額される可能性があります。これは、養育費の金額は元夫の収入に基づいて計算されるためです。元夫の年収が増加した場合、子供の生活費や教育費を支えるために養育費を増額することが一般的です。 

(2)年収が減少した場合

元夫の年収が減少した場合、養育費の支払い額を見直す必要があるかもしれません。収入が減少した場合、元夫の経済的負担が大きくなるため、養育費の減額を裁判所に申し立てることができます。ただし、変動が一時的なものである場合、一時的な減額に留めることも考えられます。 

(3)変動が長期化した場合

元夫の収入の変動が長期化し、安定的な収入の低下が続く場合、養育費の見直しを検討する必要があります。一時的な変動ではなく、持続的な経済的困難がある場合、養育費の減額が考慮されることがあります。 

養育費の見直しは、変動が発生したら迅速に行動することが重要です。変動に応じて養育費を調整するためには、裁判所で増減額等変更申し立てを行うか、元夫との合意に基づいて調整を行うことが一般的です。また、法的アドバイスを受けることが重要です。変動に関する詳細な情報と支援を提供する弁護士や専門家の協力が役立つでしょう。 

10.養育費が支払われなくなった場合

お日様の出る野原で、子供たち二人がクマに寄りかかって幸せそうにお昼寝する絵。この幸せを守るために養育費を確保しようという趣旨。

養育費が支払われなくなった場合、以下のステップを考慮することが重要です。ただし、具体的な対処方法は法的状況によって異なる場合があるため、法的アドバイスを受けることが大切です。 

養育費が未払いになった場合、個人で相手方に催促する方法や公正証書に残すことで強制執行が可能になる手順について解説します。 

(1)まずはコミュニケーションを試みる

最初に、元夫とのコミュニケーションを試みてみましょう。支払いが滞っている理由を尋ね、問題を解決するために話し合うことができるかもしれません。コミュニケーションを通じて問題を解決することができれば、法的な手続きを回避できます。 

(2)公的機関に相談する

養育費の支払いが滞っている場合、地域の子供と家庭に関する公的機関に相談してみることができます。例えば、社会福祉事務所などが支援を提供することがあります。

(3)弁護士に相談する

養育費の支払いが滞る場合、弁護士に相談することが有効です。弁護士は法的手続きを進め、養育費の支払いを強制的に回復する手助けをしてくれます。訴訟を起こす場合や公正証書を作成する場合、弁護士に依頼するのがよいでしょう。

(4)財産差し押さえや給与差し押さえを要求する

①履行勧告

調停調書、家庭裁判所の審判、抗告裁判所の決定により養育費が決定された事案において不履行が生じた場合、家庭裁判所に履行勧告を申し出ると、家庭裁判所は義務履行状況を調査し、義務者に対し義務の履行を勧告することができます(家事事件手続法289条1項、7甲、人事訴訟手続法38条1項)。

②履行命令

履行勧告と同様に、家庭裁判所に履行命令を申し立てたとき、家庭裁判所は、相当と認めるときは、義務者に対し、相当の期間を定めて義務の履行をすべきことを命ずる審判をすることができます(家事290条1項、人事訴訟法39条1項)。履行を命じられたものが正当な理由なく命令に従わないときは、家庭裁判所は10万円以下の科料に処するとしています(家事290条5項、人事訴訟法39条4項)。

③差し押さえ

調停調書、公正証書等債務名義があれば、債務名義をもとに、財産や給与の差し押さえをすることが考えられます。

④将来分の差し押さえ

養育費等扶養義務にかかる債権については、その一部の不履行があるときは、期限未到来の分についても過去の不履行分の差し押さえと同時に差し押さえることができる(民事執行法151条の2)。これにより、1回の差し押さえにより、毎月の給与等から、将来分の養育費についても継続して取り立てることができます。

⑤差し押さえ禁止範囲

また、給与にかかる債権については、養育費などの扶養義務にかかる定期金債権を請求債権として差し押さえる場合、差し押さえ禁止債権の範囲が2分の1となります。

(5)法的手続きを検討する

養育費の支払いが長期間滞る場合、裁判所に対して元夫に対する法的措置を講じることを検討する必要があります。訴訟を起こし、養育費の支払いを強制的に要求することが考えられます。 

養育費の支払いが滞った場合、法的なプロセスを遵守し、専門家の助けを借りることが最善の方法です。個別の状況に応じて、最適な対処方法を検討し、子供の福祉と養育費の回復を優先して行動しましょう。 

11.再婚した場合

再婚した場合、養育費については次のような点が考慮されます。ただし、具体的な状況によって異なることがありますので、法的アドバイスを受けることが大切です。 

(1)再婚相手の収入による影響と裁判所の判断: 

再婚相手の収入が元夫との養育費支払いにどのように影響するかは、合意当時予想しあるいは前提となしえなかった事情があるか否か等個々の事情を総合衡量して、決せられます。 

離婚後3年間は毎月20万円、以後第3子が23歳になるまで毎月30万円を父が支払うという養育費の合意をしたが、その後父も母も再婚し、且つ、3人の子は母の再婚相手と養子縁組をしたという事案において、合意当時予想しあるいは前提となしえなかった事情があるとして、合意事項を修正し、養育費の月額を21万円、その終期を成年到達時までとし、臨時の出費は義父が負担するとした裁判例があります(東京家審平成2・3・6)。

(2)合意による変更

再婚した場合、元夫との合意に基づいて養育費の支払い条件を変更することができます。再婚相手や元夫との協議を通じて、養育費の支払い額や期間を調整することが可能です。

(3)法的手続き

養育費の支払い条件を変更するためには、法的手続きを行う場合もあります。再婚相手の収入や家計状況が変化した場合、裁判所に変更申し立てを行い、条件の見直しを求めることができます。 

再婚した場合、養育費に関する法的および財務的な影響は複雑です。具体的な状況に応じて、元夫との合意や法的手続きを通じて、養育費の条件を調整するか、裁判所の判断に従うかを検討することが重要です。また、専門家のアドバイスを受けることが役立つでしょう。 

12.養育費を支払ってもらうためには、子供の面会交流を認めた方がいいの? 

養育費を支払ってもらうために、子供の面会交流を認めるかどうかは、具体的な状況によります。以下は、考慮すべきポイントです。 

(1)子供の福祉を最優先に

子供の福祉が最優先です。面会交流が子供にとってプラスになる場合や、親子関係の維持が重要な場合は、面会交流を認めることが有益でしょう。しかし、子供にとって害となる可能性がある場合は検討すべきではありません。 

(2)養育費と面会交流は別の問題

養育費と面会交流は基本的には別の問題です。養育費の支払い義務は親に対して法的に課せられており、面会交流は子供の利益に応じて認められるべきかどうかが判断されます。裁判所はこれらの問題を別々に評価します。 

(3)協議による解決

養育費の支払いと面会交流について、元夫との協議によって合意を形成することが可能です。合意に達した場合、協議内容を公正証書に記録することがお勧めです。 

(4)法的手続きの結果

養育費の支払いや面会交流に関して法的手続きが行われ、裁判所の判断が下された場合、その判断に従う必要があります。裁判所は子供の福祉を最優先に考え、適切な決定を下すことが期待されます。 

最終的に、養育費の支払いと面会交流は異なる問題ですが、両親が子供の福祉を共通の目標とし、協力することが重要です。法的アドバイスを受けながら、子供の利益を最優先に考え、問題を解決するために努力することが大切です。 

13.離婚するとき、養育費を決めなかった場合、離婚後に養育費の請求はできるの?

離婚時に養育費を決めなかった場合でも、離婚後に養育費を請求することは可能です。養育費は子供の権益を守るために設けられた制度であり、親権を持つ親(通常は子供が生活する親)が子供のために必要な経済的支援を受ける権利があります。 

養育費を請求する手続きは次の通りです。 

(1)協議と合意

まず、元夫と協議し、養育費の金額と支払い方法について合意しようと試みることがおすすめです。合意に達すれば、その内容を書面にまとめ、公正証書にすることが望ましいです。 

(2)裁判所への請求

協議が不可能な場合、裁判所に養育費の請求調停を起こすことができます。裁判所は両親の経済状況や子供のニーズを考慮して養育費を決定します。 

(3)養育費の請求期間

養育費は子供が成年に達するまで支払われることが一般的ですが、支払い期間は法的な変更や合意に基づいて変更されることもあります。 

(4)証拠の提出

養育費の請求調停では、収入証明書や家計状況の証拠を提出することが求められることがあります。これらの証拠は養育費の金額を決定する際に役立ちます。 

養育費の請求は子供の権益を保護し、子供が適切な経済的支援を受けるための手段として重要です。離婚後に養育費の請求を検討する場合は、法的アドバイスを受けながら適切な手続きを行うことが大切です。  

14.養育費は過去にさかのぼって請求できる? 

 

 養育費の支払い義務は、親の子に対する扶養義務であり、この要扶養状態と非監護親の扶養可能状態があれば、その時点から、養育費を請求することが可能です。

 判例は、婚姻費用同様、過去分の養育費の支払いを命ずることができるとしています(最判平成19・3・30)。

 「請求」との関係については、「…具体的な請求権の発生を扶養権利者の請求にかからせる必要はない」としています(東京高決昭和58・4・28)。

 しかしながら、過去にさかのぼって多額の負担を命じることが義務者に酷になることもあるので、裁判例は様々な事情を考慮して、式や額の認定に関し、相当と認める範囲に限定する工夫をしています。

 直近の実務においては、

 ①裁判所への調停又は審判申し立て時から

 ②申し立て時以前に請求した場合はその請求時から

 ③請求時以前に遡って過去分の支払いを命ずることはむしろ例外的になっているように思われます。

 以上のように、個々の事案において個別事情を総合衡量して決せられますから、まずは当事務所にお気軽にお問合せください。

15.養育費請求権の時効消滅

養育費は、月ごとに養育費支払い請求権が発生する定期金債権です。

したがって、毎月弁済期が来て、月ごとに弁済期の翌日から年5パーセントの遅延損害金が発生し、消滅時効の起算日が来ます(民法166条1項)。

既に弁済期の到来した過去の養育費債権について、確定判決等によって確定した場合場、消滅時効は10年に延長されます(民法169条第1項)。

公正証書については、貸金の事例において、「執行力があっても既判力がないから、民法174条の2第1項に規定する確定判決と同一の効力を有するものにより確定したる権利には該当しない」とする裁判例があり(東京高判昭和56・9・29)、過去の養育費に関しても、消滅時効は5年と解される余地があります。

ただし、実務が確立しているとは言えないので、過去分養育費の合意は、準消費貸借として10年と解される余地もあるでしょう。

まとめ:

養育費の相場についてのコラムを通じて、養育費に関する重要なポイントに触れてきました。養育費の相場は、子供の年齢、親の所得、子供の必要な支出など、さまざまな要因によって決まります。公平な養育費の支払いを確保するためには、これらの要因を考慮して計算し、必要に応じて法的なアドバイスを受けることが重要です。また、親同士の協力とコミュニケーションも、子供の福祉に寄与する要素となります。養育費に関する問題が生じた場合、専門家の助言を受けつつ、誠実な対話を重ねて解決を図ることが大切です。養育費の支払いは、子供の幸福と安定に貢献する重要な責任であり、それを認識し、適切に対処することが必要です。

女性のための離婚相談は、女性の弁護士が対応致します

女性のための離婚相談

こちらも参考にどうぞ

離婚慰謝料請求と弁護士費用:知っておきたいポイントと記載されたイラスト
離婚慰謝料請求と弁護士費用:知っておきたいポイント
 浮気,モラハラ,DV,家事育児を手伝わない夫,あわない姑…毎日,辛い思いをされていませんか? 顔を合わせるだ…
弁護士法人AURA(アウラ)
女性の多衛野離婚相談と記載されたイラスト
女性のための離婚相談
女性のための法律相談 DV(家庭内暴力) モラハラ相談 パワハラ相談 セクハラ相談(職場や会社・大学等) 離婚…
佐々木彩乃
相談方法とお問い合わせと記載されたイラスト

相談方法

お電話でのご相談について

女性のスタッフがご対応したします。安心してお電話下さい。

電話のアイコン

03‐6555-5376

画面右下に表示されている電話の番号をタップしていただくと繋がります

LINEでのご相談について

使い慣れたツールだから、時間や場所を気にせず気軽にご連絡下さい。

LINEのアイコン

こちらをクリック

ボタンをクリックしてお友達追加をお願いします

気軽にお問い合わせください

営業時間平日午前10時~午後18時
土日祝日対応可(事前に連絡が必要)
営業時間外の対応対応可(事前に連絡が必要)
Page Top