家庭裁判所に対する照会

author:弁護士法人AURA(アウラ)

家事審判記録の謄写

先順位の相続人が相続放棄をしたかしていないかは,後順位の(推定)相続人にとって,相続人になれるか否かに直結する関心事です。

しかし,先順位相続人に相続放棄したか否かを聞いても,その関係によっては答えてくれないこともあります。その場合には,直接,家庭裁判所に対して,相続放棄があったかなかったかを照会することができます。

相続放棄や限定承認は,必ず家庭裁判所での手続が必要なので,仮にその手続がなされていれば,家庭裁判所には相続放棄や限定承認をした手続の記録が残っています。
家庭裁判所に照会すればそのような手続きの有無を確認することができます。
家事審判の記録の謄写としての扱いになります。

推定相続人の債権者からの照会

〈事例〉

AがBにお金を貸しています。
Bのお父さんが亡くなって,遺産が入ってくる可能性があります。
しかし,Bは相続放棄をした可能性もあります。
Aは「Bが相続放棄をしたかしてないか」を知りたいでしょう。

〈結論〉

相続人の債権者(A)は家庭裁判所に「Bが相続放棄をしたかしてないか」を照会することはできません。
確かに,推定相続人の債権者としては,債務者(借主)に遺産が入ってきたかどうかは重大な関心事でしょう。しかし,相続を受けるか受けないか,どの財産を相続するかは,家族内の問題です(一身専属的)。
推定相続人の債権者の受ける影響は,相続放棄の反射的・間接的なものにすぎず,相続放棄の有無を照会するための利害関係者には該当しません。

被相続人の債権者からの照会

〈事例〉

AがBにお金を貸しています。
Bが亡くなりました。
Bの債務は相続人であるBの妻や子が承継したと思われます。
一方,仮にBの妻や子が相続放棄をしていれば,債務を承継しません。
Aとしては,Bの妻や子が相続放棄をしたかどうかを知りたいでしょう。

〈結論〉

被相続人の債権者(A)は家庭裁判所に「Bの妻子の相続放棄が相続放棄をしたかしてないか」を照会することができます。
被相続人の債権者は,債権者として訴訟や差押えといった裁判手続きを行う際,被告等として相手取るのは債務を承継した者です。
つまり,債務者の相続人,です。
債務者の推定相続人のうち誰かが相続放棄をしたのかどうか,については,直接的な利害関係があります。
各種裁判手続きの相手方を誰にするか,に関わってきます。

また,仮に推定相続人全員が相続放棄を行った場合,相続財産管理人選任申立を行うとか,相続分離請求手続を行う必要が出てくることもあります。
そこで,相続放棄の申述の有無の照会については,利害関係者として申請可能とされています(家事事件手続法47条1項)。

相続放棄の確認を申請できる者

確認の申請者閲覧の可否
(推定)相続人
被相続人の債権者
(推定)相続人の債権者
桜

その他、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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